2009 Fiscal Year Annual Research Report
石製装身具の石材分析からみた縄文社会の地域間交流と農耕化への変遷過程の研究
Project/Area Number |
21682004
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大坪 志子 Kumamoto University, 文学部, 助教 (90304980)
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Keywords | クロム白雲母 / 縄文時代後晩期 / 穿孔技法 |
Research Abstract |
九州地方において縄文時代後晩期に盛行した、九州脊梁山脈に起源をもつと思われる「クロム白雲母」製の管玉や勾玉などの石製装身具が、本州以東へどのように分布しているのかを確認するため、分析対象とすべき資料の事前調査を東海地方(愛知県)行った。この結果、東海地域で初めてクロム白雲母製品と思われる石製装身具を確認し、東日本へ向けて九州の玉文化が及んでいることを再確認した。事前に、報告書等の図面の形態や穿孔法から予測していたが、それらがクロム白雲母と思われる石材であり、これまで集積した資料の検討から立てた形態・穿孔技法と石材が一致するという仮説が裏付けられた。反面、東日本の玉文化の代表的石材である翡翠で製作された石製装身具については、筆者が考える形態と穿孔技法が一致するものとそうでないものがある。これは新たに東海地域の玉の特徴として捉えられる。 韓国との石製装身具の比較のため、韓国においても調査を実施した。調査の条件制限等もあり今回は目視観察を行ったが、石材は碧玉とアマゾナイト製品のみであり、クロム白雲母製品と思われる玉は無かった。今回の調査では、直接的な関係を示すものはなかった。東日本でクロム白雲母が発見され資料が増加しつつあるなかで、予想に反する結果である。九州の後晩期において、石材としてクロム白雲母が重用される理由の一つには、石材の色にあると思われる。石材の交流は今後の調査を待たねばならないが、九州の玉類と形態や製作技法が類似するものもあり、間接的な影響も視野に入れて、おく必要があると思われる。
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Research Products
(1 results)