2010 Fiscal Year Annual Research Report
観光・移住・メディアがもたらす地域イメージと文化変容に関する社会学的研究
Project/Area Number |
21683004
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
多田 治 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 准教授 (80318740)
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Keywords | 沖縄 / イメージ / 観光 / メディア / グローバル化 / アイデンティティ / 移動 / ローカル |
Research Abstract |
私は21年度から継続して、自身の沖縄・観光・イメージ等の研究をグローバルな文脈に位置づける必要から、グローバル化の研究基盤の形成に取り組んだ。環境・資源・南北格差・軍事等が複雑にからみあうグローバル化を、よりトータルに把握できた。7月には国際シンポジウムで成果報告を行い、他の報告者のイラン・フィリピンなどと沖縄・日本を比較検討し、議論を深められた。 8月上旬には瀬戸内国際シンポジウムに出席し、犬島での分科会「里海から多島海へ」で、沖縄・瀬戸内・フィリピン・太平洋をつなぐ横断的な議論を通して、島と海の視点から世界をとらえ返す知見が得られた。芸術祭の一環たるシンポ全体からも、アートと観光による島おこしの知見を得た。 8月下旬には中国・上海へ行き、万博・観光・都市の発展状況を視察、話を聞いた。続いてフィリピンへ行き、マニラとダバオで貧困や対日関係の歴史・現状を見学し、話を聞いた。これらローカルな場所でのフィールドワークも、グローバル化の研究視点を豊かにした。 また8~9月には沖縄・観光に関する複数の原稿を執筆し、今年度の知見を含めて研究成果をまとめられた。 11月には台湾映画、および東アジアのエスニック観光という2つのシンポで研究報告を行った。10月に台湾へ行き、メディアと観光の結びつき、植民地時代とノスタルジア、多文化・多言語状況などの重要な見聞を得た。エスニック観光のシンポでは、見せる側のアイデンティティと結びつく事例を多く得た。 12月にはマーシャル諸島研究のグレッグ・ドボルザーク氏の公開セミナーを開き、太平洋と日本・沖縄をつなぐ協同作業の射程が開けた。以後も院生数人を含め、パシフィック・スタディーズの研究会を行っている。 1月にはアメリカで沖縄の研究報告を行い、貴重な意見交換ができた。この交流をもとに、3月には再びアメリカへの研修出張の機会を得て、グローバル化の研究基盤の形成を実地で行えた。
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