2009 Fiscal Year Annual Research Report
過重債務問題の予防と解決に向けた支援者ネットワーク形成に関する国際比較研究
Project/Area Number |
21683005
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
大山 小夜 Kinjo Gakuin University, 人間科学部, 准教授 (10330333)
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Keywords | 多重債務 / 社会運動 / 国際比較 / 貧困 / 金融危機 / 台湾 / 法律扶助 / 派遣村 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ローンやクレジット等による過重債務問題の予防と解決に関わるフォーマルな制度と、これらの制度の具現化に関わるインフォーマルな支援ネットワークとの相互関係を、社会学アプローチを用い、国際比較を通じて類型化することである。初年度の成果は次のとおりである。 1.多重債務対策と支援者ネットワーク (1)前年度に参加した、多重債務国際会議での議論-金融危機後の多重債務対策に関する、南ア、英国、米国、日本の国際比較(報告者は日本の事例を報告)-を考察し、日本の「支援者ネットワーク」の特徴を明らかにした(雑誌論文no.1)。 (2)台湾法律扶助基金会(日本の「法テラス」に相当)主催の国際会議に招聘され、日本の多重債務対策と支援者ネットワークの関わり等を報告した。17力国の法律家、政策立案者らと討議した(学会発表no.3、備考)。 (3)日本における多重債務対策の支援者ネットワークの特徴は、当事者(多重債務者)と専門家(弁護士・司法書士などの法律実務家や消費生活相談員等)との緊密な連携・分業にある。このことを、06年改正貸金業法の法制化過程に焦点を定め、明らかにした(学会発表no.1)。本報告により関西社会学会大会奨励賞受賞。 (4)多重債務者の問題解決過程を家族内力学関係の点から検討し、当人が家族から、また当人と家族が社会から排除あるいは包摂される契機を明らかにした(図書no.1) 2.支援ネットワークの応用・拡張 (1)2008年秋の世界金融危機後、日本における多重債務対策の支援者ネットワークは、労働・生活保護等に関わる民間諸団体と合流し、「反貧困」をキーワードに支援活動(例えば「派遣村」活動など)を本格化している。このうち、愛知県の事例を取り上げて、活動の背景・経緯、相談現場の社会的世界、戦略等を考察した(雑誌論文no.1、学会発表no.2)。
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