2009 Fiscal Year Annual Research Report
グラフ彩色問題に関するグラフ構造解析と高速アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
21684002
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
河原林 健一 National Institute of Informatics, プリンシプル研究系, 教授 (40361159)
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Keywords | 平面グラフ / グラフ彩色 / 曲面上のグラフ / 4色定理 / 選択数 / 独立点集合 |
Research Abstract |
2009年度は以下の2点に関して集中的に研究を行った. ・ 平面グラフの分割問題とグラフの彩色問題 4色定理は平面グラフの分割問題でもある.3閉路も4閉路も含まない平面グラフで,同じような分割問題が成り立つか?という問題をThomassen博士とともに検討した.その結果「3閉路も4閉路も含まない平面グラフは,独立点集合と林に分割可能である」という定理を導き出すことに成功した.この定理は,有名なGrotzschの「3閉路を含まない平面グラフは3彩色可能である」とする定理の拡張である.この定理の証明は,多項式時間のアルゴリズムを与える点で多くの研究に影響を与えている.実際,グラフの彩色のみならず分割も与える点において,この定理とそのアルゴリズムは大きなインパクトを与えている.この論文は離散数学の最高峰の雑誌,J.Combin.Theory Ser.Bに受理・掲載される予定である. ・ 曲面上のグラフの選択数問題 選択数の問題は彩色数の拡張の概念であり,近年多くの研究者から注目を集めている.特に平面グラフでは4色定理とは異なり,選択数が4にはならない平面グラフが存在し,その場合,選択数が5になることがThomassenにより証明されている.申請者とMohar博士はこの定理をさらに拡張し,閉曲面上でローカルには平面なグラフでは,選択数が5であることを証明した.またさらに証明を拡張し,多項式時間アルゴリズム的でグラフ彩色と選択彩色を与えることも可能になった.この論文は,2009年のSODAにおいても採用されている.
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