2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21684004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木田 良才 京都大学, 理学研究科, 特定准教授 (90451517)
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Keywords | 離散群 / 測度同値 / 軌道同型 / 写像類群 |
Research Abstract |
本研究の主な目的は、与えられた離散群と測度同値な離散群を決定することである。そのような決定が可能な離散群を見いだすためには、その離散群の自己同型やそれの有限指数部分群の間の同型写像を決定することが必要となる。本年度は、曲面の写像類群の正規部分群である、トレリ群、ジョンソン核、曲面組紐群に対して後者の問題を考察した。結果として、(一部、山形紗恵子氏との共同研究により)そのような群の有限指数部分群の間の任意の同型写像は、写像類群のある元による共役と一致することを証明した。その証明の過程では、写像類群が自然に作用する単体複体を構成し、その自己同型を計算することが鍵となる。写像類群の測度同値剛性の証明においてカーブ複体の自己同型についての結果が応用されたように、このような単体複体の自己同型の計算は、トレリ群等の測度同値剛性を証明する上でも重要な役割を果たすものと期待される。また、トレリ群等の群の間で定義される単射準同型を記述するという問題にも取り組んだ。この問題の解決においても既述の単体複体間で定義される単射な単体写像を考察することが鍵となる。結果として、そのような単体写像は写像類群の元による作用に由来するということを証明した。応用として、ジョンソン核の有限指数部分群からトレリ群への単射準同型や曲面組紐群からそれ自身への単射準同型が写像類群の元による共役に由来するということを証明した。前者の結果から、ジョンソン核を含みトレリ群に含まれる群の自己同型もまた写像類群の元による共役に由来することが従う。よって、これらの群の測度同値剛性も強く期待される。
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