2009 Fiscal Year Annual Research Report
30ミクロン帯観測による大質量星末期天体のダスト生成量の決定
Project/Area Number |
21684006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮田 隆志 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (90323500)
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Keywords | 星間ダスト / 大質量星 / 赤外線 |
Research Abstract |
本研究は世界で初めて地上望遠鏡を用いた30ミクロン中間赤外線観測を実現し、これによる大質量星進化末期天体Luminous Blue Variablesの観測から、宇宙のダストの生成進化に対して新しい知見を得るものである。研究初年度である平成21年度は主に、本研究観測で用いる30ミクロン中間赤外線観測装置の立ち上げを行った。観測装置は国内実験室での各種試験によって性能を確認した後、9月にチリに向けて出荷した。現地での試験調整を行ったのち、東京大学が運用するアタカマ1m望遠鏡に搭載、試験観測を実施した。その結果、世界で初めて地上施設による30ミクロン帯観測に成功した。得られたデータを解析した結果、大気透過率はほぼ事前に想定されたとおりであり、可降水量が十分に低いときには良い精度で30ミクロン帯が観測できることが確認できた。これはこの波長の地上観測実現にとって大きな進展である。また、夜間観測のみならず日中でも観測が可能であることが実証できた。ただし輸送の影響で一部光学系がずれてしまったことや、低温環境下では冷凍機の性能が一部悪化し温度が上下してしまうなど、装置の修正点がいくつか見つかった。これらについては来年度以降の研究で改修できる見込みである。なお本研究の成果については東京大学による記者発表(2009年12月3日「アタカマ望遠鏡波長38ミクロンの赤外線を地上から世界初観測」)が行われ新聞等で取り上げられたほか、NHKニュースや科学番組(サイエンスアイ)でも報道が行われた。
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Research Products
(2 results)