2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21684014
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
井岡 邦仁 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80402759)
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Keywords | ガンマ線バースト / 宇宙線 / 鉄 / バリオン / 連星中性子星 / 乱流 / 磁場 / 初代星 |
Research Abstract |
宇宙一明るい爆発現象であるガンマ線バースト(GRB)は、宇宙最強の加速器である。始動しはじめた地上の加速器LHC やJ-PARC と同様、GRB はさまざまな素粒子を生成する宇宙の素粒子ファクトリーとみなせる。一方、天体観測ではさまざまな粒子を捉える全粒子天文学が急成長している。本研究では、GRB がガンマ線以外にもどのような粒子を放出するのかを明らかにし、全粒子天文学の理論的基礎を構築することを目的とする。23年度は以下の研究を行った。 ①GRBからGeVガンマ線が検出され、GRBを起こすジェットの速度が予想以上に高いことが分かり、問題になっている。我々は、この観測が新たな問題、つまりGRBのジェットに含まれるバリオン量がfine-tuningされていなければならない点を初めて指摘した。この問題を解決するために、バリオンが全く含まれていなくてもGRBを起こすことができる可能性を提唱した。 ②GRBは連星中性子星の合体によって生じる可能性がある。我々は、連星が合体すると磁場がねじられアウトフローが四方に放出されることを数値的に示した。我々の結果は、GRBのジェットが我々の方向を向いていなくても、重力波とともに電磁波放射が放射される可能性を示唆する。 ③GRBの放射領域では高速のアウトフロー同士が衝突を起こしていると考えられている。我々は、衝突中に乱流が発生し、磁場が増幅されることを示した。④超強磁場中性子星の振動から磁場の大きさや時間進化を測定できることを示した。⑤宇宙最初の初代星からのGRBの頻度を見積もった。特に、重元素は含まないが、他の初代星の光に影響された初代GRBが大多数を占めることを初めて示した。⑥ガンマ線バーストのジェットに鉄が混じっても壊されないパラメータ領域があることを示し、ガンマ線バーストが最高エネルギー宇宙線の起源である可能性を指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画よりも観測的な進展が早く、それに柔軟に対応したことによって、本研究も計画以上に新しい成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に進んでいるので現在の研究を継続する。当初の計画にはない観測的な進展にも、これまで通り柔軟に対応する。
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