2011 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙高精度ガンマ線撮像観測に向けた半導体撮像検出器の開発研究
Project/Area Number |
21684015
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
渡辺 伸 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (60446599)
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Keywords | 宇宙物理 / X線天文学 / ガンマ線天文学 / ガンマ線撮像 / CdTe半導体検出器 |
Research Abstract |
10keVから数MeVでの高感度のガンマ線宇宙観測を目指し、高精度のガンマ線撮像型検出器の開発研究を進めてきた。本研究では、テルル化カドミウム(CdTe)半導体検出器、および、アナログLSIを読み出しに用いた多チャンネル検出器を発展させ、50-200μmという位置分解能を持つCdTe両面ストリップ検出器の実現を目的としている。本年度は、昨年度までに確立した撮像面積3.2cm角、ストリップピッチ250μmのCdTe両面ストリップ検出器を複数製作し、それらの詳細な評価試験を行った。 撮像領域内での詳細な応答を調べるために、SPring8の硬X線ビームラインを用いて、スキャン実験を行った。硬X線ビームを6μm角にスリットで絞り、10μm間隔で、各検出位置でのデータを取得し、波高値の均一性、2つのストリップにまたがるイベントの割合、陰極ストリップと陽極ストリップの相関、といった検出器の応答の実測値を得た。また、これを基に、検出器シミュレータの構築と調整を行い、実際の応答を再現できるようになった。これは、高感度観測を行う上で欠かすことができない。 コーデッドマスクカメラやコンプトンカメラとしての実証試験を行った。コーデッドマスクカメラでは、CdTe両面ストリップ検出器の高い位置分解能を生かすことで、400μmピッチの微細なマスクとの組み合わせが可能になり、10cm程度のコンパクトなカメラが実現した。ガンマ線源を用いて測定を行い、30cm先で、50μmの位置決定精度が達成できることを実証した。コンプトンカメラでは、同じ構成のシリコン両面ストリップ検出器と積層して、Si/CdTe半導体コンプトンカメラとして動作させ、測定試験を行った。180°にわたる広視野と優れたエネルギー分解能、角度分解能を実証することができた。
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