2009 Fiscal Year Annual Research Report
不均一量子ドット集合体におけるラビ振動ダイナミクスの解明と集団コヒーレンスの生成
Project/Area Number |
21684017
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
早瀬 潤子 (伊師 潤子) The University of Electro-Communications, 先端領域教育研究センター, 特任助教 (50342746)
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Keywords | 量子ドット / 光物性 / コヒーレント制御 / 量子エレクトロニクス / 量子情報 / ラビ振動 |
Research Abstract |
本研究では、不均一量子ドット集合体におけるラビ振動ダイナミクスを解明することを目的に研究を行なっている。本年度は、不均一集合体特有の効果であるパルス面積(入射光電場、遷移双極子モーメント)の不均一分布や、入射光エネルギーと励起子エネルギーの離調の不均一分布が、ラビ振動のマクロな応答に与える影響について実験的・理論的に詳しく調べた。 歪補償法と呼ばれる手法で作製した超積層InAs量子ドットにおいて、四光波混合信号強度およびポンプ-プローブ法による透過光強度変化の励起強度依存性を測定することにより、励起子分極および励起子ポピュレーションのラビ振動を調べた。その結果、単一の量子ドットには見られないパルス面積に依存した非単調な振動構造が見られること、励起子分極と励起子ポピュレーションでラビ振動の挙動が大きく異なることを見出した。我々は、入射光電場、遷移双極子モーメント、離調の不均一分布を考慮した理想2準位モデルによる計算を行い、振幅以外のフィッティングパラメタを用いていないにも関わらず、計算結果が実験結果を非常に良く再現することを明らかにした。またその結果、四光波混合過程においては、考慮すべき離調分布が励起光パルスのスペクトル幅程度でよいということを見出した。これはスペクトル幅よりも大きな離調をもつ量子ドットでは、四光波混合信号の位相が不確定になり、信号に寄与しないためだと考えられる。 今回我々が得た研究結果は、量子ドット集合体において、マクロなラビ振動がどのように振舞うのか初めて明らかにするものであり、不均一性の大きな2準位系と光とのコヒーレントな相互作用を理解する上で重要な成果と言える。
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Research Products
(19 results)