2011 Fiscal Year Annual Research Report
高対称強相関f電子系における高次多極子ダイナミクス
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21684018
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
桑原 慶太郎 茨城大学, 理工学研究科, 准教授 (90315747)
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Keywords | 充填スクッテルダイト / 希土類ヘキサボライド |
Research Abstract |
磁場に鈍感な重い電子状態を示すSm系充填スクッテルダイト化合物のSmの4f電子状態を調べるため大強度陽子加速器研究施設J-PARCにおいてeV程度の高工ネルギー中性子を用いた非弾性中性子散乱実験を行った。非弾性中性子散乱実験では他の物性測定に比べて多くの結晶が必要であるが、Sm系の充填スクッテルダイト化合物は育成しづらく育成条件を決めるため繰り返し条件出しを行い、約2グラムのSmFe4P12の結晶を準備することができた。その結晶を用いた中性子散乱実験の結果、非常に微弱であるがSmからの磁気励起と考えられる信号を観測した。今後さらに調べる必要があるが、充填スクッテルダイトの強い混成効果を反映して自由イオンの電子状態に比べかなり低いエネルギー位置に励起状態が存在する可能性がある。 東北大学の岩佐氏等と共同で希土類ヘキサボライドGdB6、DyB6の非弾性X線散乱実験をSPring-8において行った。その結果、どちらの系においても、縦波音響フォノンモードにおける顕著なソフト化、低温相転移点での明確なフォノン異常、フェルミ面の形状を反映したコーン異常、を観測した。 地震により故障した実験装置の再修理を行った。特に、東海村のいばらき量子ビームセンターに移設した極端条件下単結晶X線回折装置の再調整を行い、少なくとも1Kまでの極低温での格子定数測定はできるようになった。また、極低温高圧下での電気抵抗測定を行うための実験環境の整備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の予定していた極低温単結晶X線回折実験、および、中性子散乱実験を行うことができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
いばらき量子ビームセンターに設置している極端条件下単結晶X線回折装置の再修理および調整が昨年度末にほぼ完了したので、強相関電子系化合物の極低温X線回折実験を再開する。具体的な試料は充填スクツテルダイト化合物、パイクロア化合物、等を考えている。また、大強度陽子加速器研究施設J-PARCでの粉末中性子回折と非弾性中性子散乱の実験、および、研究用原子炉JRR-3での一軸圧下弾性散乱実験を計画している。加えて、原子力機構の長壁氏と共同で圧力下電気抵抗測定技術の開発を行う。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Motion of the guest ion as precursor to the first-order phase transition in the cage system GdB62011
Author(s)
K.Iwasa, R.Igarashi, K.Saito, C.Laulhe, T.Orihara, S.Kunii, K.Kuwahara. H.Nakao, Y.Murakami, F.Iga, M.Sera, S.Tsutsui, H.Uchiyama, A.Q.R.Baron
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Journal Title
PHYSICAL REVIEW B
Volume: 84
Pages: 214308-1-6
DOI
Peer Reviewed
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