2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21684019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中辻 知 東京大学, 物性研究所, 准教授 (70362431)
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Keywords | 量子臨界現象 / 超伝導転移 / 重い電子系 / 磁気相転移 / フェルミ液体 / カイラルスピン液体 / 三角格子反強磁性体 / スピンアイス |
Research Abstract |
1.重い電子系物質beta-YbAlB_4において、磁化率のスケーリング則から固体では初めてゼロ磁場量子臨界現象を確立した。また、このような重い電子系では初めて強い価数揺動を伴っていることを明らかにした。同組成の関連したalpha型においては、低温でフェルミ液体の状態が実現していること、また、beta型と同様、強い価数揺動を伴いながらも、低温で近藤格子の振る舞いをしていることを明らかにした。 2.S=1の2次元三角格子反強磁性体NiGa_2S_4において、中性子回折の結果からこの系において低温でおこるスピン凍結現象の波数依存性と周波数依存性を明らかにした。また、その波数依存性が比熱から期待されるスピン波の予想と桁違いに合わないことから、この系で現れている磁気相関が通常のスピン波とは異なる量子相に基づく可能性を指摘した。さらに角度分解光電子分光の測定から高温で異常な価数揺らぎを伴っていることを指摘した。 3.擬2次元三角格子Rb_4Mn(MoO_4)_3の磁場中での磁気相図を明らかにし、それが理論的予測と数値的に一致することを明らかにした。 4.Pr_2Ir_2O7の低温のスピン液体相においてホール効果の異方性を明らかにした。このことからこの系での自発的なホール効果に伴う軌道電流はカゴメ面内に発生していることを突き止めた。また、高磁場での量子振動からメタ磁性転移によって引き起こされる電子状態の変化についての詳細を明らかにした。さらに、基底状態においてはスピンアイスのフラストレーションにより磁気秩序が抑えられているだけでなく、強い量子効果のために磁気的モノポールが励起されている可能性を見出した。 5.Eu_2Ir_2O_7においてはスピン軌道相互作用が金属-絶縁体転移において重要であることを明らかにした。
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