2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21684020
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
田山 孝 富山大学, 大学院・理工学研究部(理学), 准教授 (20334344)
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Keywords | 強相関電子系 / 異方的超伝導 / 多極子秩序 / 熱膨張 / 磁歪 |
Research Abstract |
最終年度では、本研究で開発した角度分解熱膨張測定装置を用いて、主にCeRu_2Al_<10>とHoSbの2つの希土類化合物の研究を行った。 (1)CeRu_2_AL_<10>はT_O=27Kで伝搬ベクトルk=[100]、磁気モーメントがc軸方向を向いた反強磁性秩序(A相)を示す。またA相では、c軸方向においてのみ磁場H=^*3Tで1次のメタ磁性転移(A-B転移)が起きる。本研究では、磁場角度分解磁歪測定によって0.3KにおけるH^*の磁場方向依存性を詳しく調べた。磁場の向きをc軸からa軸方向に変化させると、H^*の値は急激に増大しc軸近傍で発散傾向を示すことが分かった。一方c軸からb軸方向に磁場の向きを変化させると、H^*はわずかに増加しただけであまり変化せず、b軸とc軸のあいだの磁場方向でA-B転移は消失した。このH^*の磁場角度依存性は、高磁場相(B相)での反強磁性モーメントが磁化容易軸のa軸方向ではなく、磁化困難軸であるb軸方向に向いていると仮定すると自然に理解できることが分かった。またCeをLaで置換すると、恥濃度5%でA-B転移が突然消失した。このことはA-B転移がLa不純物に非常に敏感であることを示しており、フェルミ面が関与した相転移であることを示唆している。 (2)金属間化合物HoSbは立方晶NaCl型の結晶構造を持ち、5.4Kで反強磁性転移を示す。この秩序状態に外部磁場を印加すると1次相転移によって新しい秩序状態が現れる。この磁場誘起秩序相の存在は30年以上前に報告されていたが、未だその起源については明らかになっていない。そこで我々は磁場誘起秩序相の起源を探るため、純良単結晶試料育成の極低温磁化測定を行い、磁気相図を詳細に調べた。その結果、[110]と[111]方向では磁場誘起秩序への転移温度が磁場とともに顕著な増大傾向を示すことがわかり、磁場誘起相は反強四極子秩序である可能性が高いことが明らかとなった。また[100]方向では磁場誘起相は1つではなく3相に分かれており、さらに新しい秩序状態が現れている可能性があることも明らかにした。
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Research Products
(18 results)