2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21684027
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
広瀬 直毅 Kyushu University, 応用力学研究所, 准教授 (70335983)
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Keywords | データ同化 / 再解析 / 日本海 / 東シナ海 / 黄海 / 海洋循環モデル / 最適化 / 海洋潮汐 |
Research Abstract |
東アジア縁辺海を高解像度(約7.5kmメッシュ)で再現する海洋循環モデルを作成した。低解像度(1/4度)北西太平洋モデルを開境界条件とすることによって、従来の日本海予測モデルを大きく上回る再現性を得た。外洋域の影響が陸棚縁を伝播する波動としてより正確に再現されたようだ。感度実験の結果をグリーン関数として定義し、両モデルの経験的パラメーター(粘性・拡散・底摩擦係数、熱塩フラックスなど)を最適化したことが奏功した。例えば、この逆推定計算から従来の風応力データは約25%過大評価であることを明らかにした。黒潮の流量もより現実的である。潮汐変化も陽にシミュレーションしたが、開境界条件として用いた国立天文台潮汐モデルに無視できない誤差があり、今後修正を要する。 本モデル結果と衛星高度計データとの相関は日本海・東シナ海のほぼ全域で0.6~0.9に達し、非同化モデルながら既に従来のデータ同化モデルを凌駕する高い予測性能を示す。対馬海峡の通過流量も現実的である。再解析データセット作成に不可欠な高精度の海洋モデルを得ることができたといえる。近似カルマンフィルターの作成にも着手し、予備的実験の結果も良好である。 次年度の本格的なデータ同化実験に備え、各種観測データの収集・解析を進めた。衛星高度計・水温計データはすでに数値モデルの評価に利用している。対馬海峡のフェリーADCP,水温塩分データの補正も完了した。石川県舳倉島に設置した潮位計観測も順調であり、モデル潮位変化との比較は上述した通りである。 海洋物理学的に新たな知見も得られた。黄海では潮汐残差流が強く、冬季は風成循環を弱める関係にあることが分かった。夏季は季節風が弱いため、潮汐残差流が海流の主因となる。日本海に流入した後の対馬暖流の流路や流量、二次循環などの特徴も詳しく調査し、定説となっていた三分枝説とは異なる描像(二群説)を提示した。
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