2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21684027
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
広瀬 直毅 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (70335983)
|
Keywords | データ同化 / 再解析 / 日本海 / 東シナ海 / 黄海 / 海洋循環モデル / 最適化 / 海洋潮汐 |
Research Abstract |
縁辺海モデル(DREAMS_M)の潮汐計算条件を最適化した。モデルグリーン関数を用いた逆推定法を用いて、潮汐・潮流(M2,S2,K1,O1)の境界条件を修正することによって、東シナ海における潮汐の誤差が約1/3にまで低下した。力学的な整合性に優れた3次元予測モデルとしては過去最高の再現性を得たと判断される。 また、主な海流や水温塩分の境界条件とする北西太平洋モデル(DREAMS_B)の同化結果と気象研究所予測モデル(MOVE-WNP)を比較し、黒潮や対馬暖流などの主な流量がよく一致することを確認した。ADCPによる観測値とも概ね一致しており、開境界条件として十分な精度を有することがわかった。ただし、津軽海峡の通過流に関してはモデル計算値が観測値を上回る傾向があり、更なる調査が必要である。東シナ海と日本海内部における主要な海洋変動(黄海の潮汐残差流、長江希釈水の東進や対馬暖流の鉛直構造など)も解析し、データ同化しない予測計算の状態でもかなり現実的な再現性を有することが示された。 さらに沿岸域・浅海域のデータ同化性能向上を目指して、カルマンフィルターの近似方法を改善した。要点としては、(1)順圧モードの縮小近似の要素を流速そのものからモード流速へ変更し、さらに沿岸付近で誤差格子点の配置を見直す。(2)傾圧モードの観測行列を定義する際に、順圧成分をより正確に除去することが可能。(3)浅海域における成層状態の大きな季節変化に対応して、システム誤差に季節変化を考慮する必要がある。(4)海面変位を順圧モードと傾圧モードに分離する方法の改善、の以上4点である。
|