2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21684027
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
広瀬 直毅 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (70335983)
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Keywords | データ同化 / 再解析 / 日本海 / 東シナ海 / 黄海 / 海洋循環モデル / 最適化 / 海洋潮汐 |
Research Abstract |
最近の漂流ブイ観測結果から黄海南西部において漂流ブイの軌跡に潮汐残差流がほとんど作用していないと報告された。この原因を数値モデルによって調査したところ、強制力を潮汐のみに限定した場合は、漂流ブイが残差流に追随するものの、風応力を付加した場合は、弱風であっても、移動距離に対して潮汐よりも風効果の方が支配的であることが分かった。 また、DREAMS海洋モデルで加熱期に海面水温(SST)の再現性が悪い問題点(低温バイアス)が顕在化したため、静止衛星MTSATによって計測される約30分毎のSST観測データを、簡略化した大気海洋結合モデルに同化する実験を行ったざ最初にシミュレーションと観測データをcovariance matching法によって比較したところ、衛星データの日平均SSTはモデル計算結果よりも格段に精度が高いことが分かった。しかし、短周期変動成分は、逆にシミュレーションの方が正確であることが判明した。そこで、日平均値とアノマリー成分について、2段階のデータ同化を実行することとした。第一段階として、モデルとデータの日平均差を初期条件に還元し、日平均値の強い修正を行い、第二段階として、アノマリー成分について弱いナッジング同化を行ったところ、様々なSST観測データと比較してかなり現実的な同化結果を得ることができた。 東日本大震災を受け、放射性物質の海洋拡散に対する備えとして、鹿児島県の川内原子力発電所付近を起源とする受動トレーサーの輸送過程をシミュレーションした。その結果川内原発から放出された物質は、あまり沖合へ拡散せず、東シナ海・太平洋・日本海の沿岸域に高濃度帯を形成する恐れがあり、さらに隣国にまで達する可能性があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大部は当初の計画以上に進展しているが、一部に遅れもあるため、全体としては「おおむね順調」と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
特に研究計画の変更はなく、予定通りに研究を遂行する。
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