2010 Fiscal Year Annual Research Report
マントル条件での蛇紋岩のレオロジー特性とプレート境界地震の関連性
Project/Area Number |
21684030
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
片山 郁夫 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (10448235)
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Keywords | 蛇紋岩 / プレート境界 / デカップリング |
Research Abstract |
本年度は引き続き,蛇紋岩に関する高温高圧変形実験を行った。これまでは蛇紋岩単独層での実験を行い,格子選択配向をはじめとする組織解析を行ってきたが,本年度は異なる蛇紋岩種を同時に,あるいは蛇紋岩とかんらん石を同時に変形させる相対強度比の実験を行った。その結果,蛇紋岩の種類により強度が著しく異なり,低温型のリザーダイトおよびクリソライトから成る蛇紋岩は高温型のアンチゴライトより強度が粘性率にして約1/5程度であることが分かった。また,かんらん石との強度比は低温型では粘性率にしておよそ1桁の違いが見られた。このことから,低温型の蛇紋岩がプレート境界に存在する場合にはデカップリングが起き,マントルウェッジ先端は対流に巻き込まれず低温に維持されると推察される。このデカップリング/カップリングの違いは沈み込み帯での温度構造や物質循環にも少なからず影響を与えると考えられる。 加えて本年度は,天然に産する蛇紋岩の変形組織解析を行った。その結果,伊豆小笠原弧の深海底から採取された蛇紋岩はマントル条件での剪断変形を受けていることが分かり,強い結晶選択配向を示した。このことは,伊豆小笠原弧のプレート境界に産すると期待される蛇紋岩が顕著な地震波異方性を持つことを意味し,地震波異方性からマントル内部での蛇紋岩の存在(ならびに水の存在)を検出することができることを示唆している。
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Research Products
(12 results)