2011 Fiscal Year Annual Research Report
スマトラ沖造礁性サンゴ骨格を用いた過去数百年間の地震及び津波履歴の高精度復元
Project/Area Number |
21684031
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡邊 剛 北海道大学, 大学院・理学研究院, 講師 (80396283)
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Keywords | 造礁性サンゴ骨格 / 地震 / 津波 / 安定同位体比 / 微量元素濃度 |
Research Abstract |
熱帯域から亜熱帯域に広く棲息する造礁性サンゴは、年輪を刻みながら炭酸塩骨格を成長させ(サンゴ年輪)、サンゴの生息期間(数百年間)に起こった様々な環境変化や事変を記録している。造礁性サンゴの成長方向(時間軸)に沿った化学分析によって週から月単位の高時間解像度で過去の生息環境の変化を復元することができる。インドネシア・スマトラ島沖の造礁性サンゴ年輪を用いて過去の地震および津波の記録を復元するという目的で研究調査を行った。スマトラ沖メンタワイ諸島の南パガイ島およびアチェ州シメル島において大型の塊状ハマサンゴの水中及び陸上掘削によるサンゴコア試料を用いた。サンゴコア試料は平板上に切断し、軟X線写真を撮影したところ、明瞭な密度バンド(年輪)が観察でき、長いコアでは現在から1750年代にまで遡ることが可能であるとわかった。また、サンゴ骨格中の微量元素濃度、酸素・炭素・窒素安定同位体比を測定した。その結果、津波による海底堆積物の撹拌や陸起源物質の流入により、骨格中の微量元素濃度が変化することが示唆された。また、炭素同位体比は、サンゴの触手に共生する褐虫藻の光合成量によって変化すると考えられており、地震前後の沈降/隆起によるサンゴ生態部の水深の変化(光量の変化)を読み取ることができる定量的な指標として有用であることが示された)。本調査により採取したサンゴ年輪の時間軸に沿った骨格構造や化学組成の解析から、過去から現在までの環境変動やイベントの復元が可能であることを示した。
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[Journal Article] Permanent El Nino during the Pliocene warm period not supported by coral evidence2011
Author(s)
Watanabe, T., A.Suzuki, S.Minobe, T.Kawashima, K.Kameo, K.Minoshima, Y.M.Aguilar, R.Wani, H.Kawahata, K.Sowa, T.Nagai, T.Kase
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Journal Title
Nature
Volume: 471
Pages: 209-211
DOI
Peer Reviewed
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