Research Abstract |
本研究の目的は,アミノ酸の分子レベル多次元安定同位体比測定法の開発である。 本年度は, (1)D-体・L-体のアミノ酸の安定窒素同位体比の測定法を開発するの2点を主眼において研究を行った。 (2)アミノ酸の安定炭素同位体比の測定法を開発する まず,(1)については,昨年度に導入したガスクロマトグラフ/化合物分取装置(GC/PFC)を利用したオフライン二次元ガスクロマトグラフ/同位体比質量分析法と,光学活性アルコールによる誘導体化法を用いて,D-体・L-体のアミノ酸の安定窒素同位体比を光学異性体別に測定する方法をほぼ完成させた。現在のところ,アラニン,バリン,ロイシン,イソロイシン,グルタミン酸,フェニルアラニンについて、D-体/L-体の安定窒素同位体比が測定可能である。この際,二次元ガスクロマトグラフ法における同位体分別も詳しく検証し,無極性または微極性の分離カラムの使用に関して,分取作業中に同位体分別が生じないことを確認した。 (2)については,誘導体化法(スルホニル化,一段階エステル化,ジアゾ化,ヒドロキシル化,エステル化,アミノ基のハロゲン置換,またはこれらの組み合わせなど)の検討と,ガスクロマトグラフでの分離カラムの変更等を行い,安定炭素同位体比の測定法の開発を進めた。残念ながら実試料の測定ができるレベルには到達できなかったが,試薬レベルでは,アミノ酸の炭素同位体比の測定が可能になった(論文及び学会で発表済)。現在,開発した試薬レベルでの測定法を基に,実試料の測定に向けて,測定法の最適化を行っている。
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