2009 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体の分極と双極子の分子間相互作用:イオン液体を包含する溶液論を目指して
Project/Area Number |
21685001
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
城田 秀明 Chiba University, 大学院・融合科学研究科, 准教授 (00292780)
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Keywords | イオン液体 / フェムト秒光カー効果分光 / 分子間振動 / 分子間相互作用 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は,特殊な分子間相互作用によって室温で液体となる新しいタイプの塩「室温イオン液体」の分子間振動ダイナミクスをフェムト秒分光法とテラヘルツ時間領域分光法で観測し,微視的な分子間相互作用を解釈し,イオン液体を包含する新しい液体論・溶液論の基礎を作ることである。本研究では,イオン液体の特異な分子間相互作用が反映される分子間振動(微視的な分子レベルでの分子間相互作用)とバルク物性を比較し,その関係を明らかにすることを試みる。また,さらに踏み込んで,イオン液体の分子間振動におけるイオンの分極率と双極子における二つの因子に注目し,微視的な分子間相互作用への影響についても検討する。平成21年度は現存のフェムト秒光カー効果分光装置を若干改造し,イオン液体の特異性を明らかにするための参照サンプルとして40種類もの分子性液体の低振動数領域の分子間振動スペクトルのデータベースとなる論文を発表した。また,イオン液体の重原子置換効果やイオン液体と高濃度電解質溶液の微視的な相互作用の相違に関する知見を得ることにも成功している。さらに,本研究を展開するのに必要な研究環境を整えることも並行して行った。光源となるチタンサファイアレーザーを購入し,約10フェムト秒の光パルスを出している。来年度以降は,光源の適正を考慮に入れ,新規に導入したレーザーを光源としてフェムト秒光カー効果分光装置を改良する。また,現存のレーザーを光源として,時間領域テラヘルツ分光装置を作成していくことに主眼を置く。
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