2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21685002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷川 淳也 京都大学, 福井謙一記念研究センター, 准教授 (30322168)
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Keywords | 励起状態 / 分子間相互作用 / 分子軌道局在化法 / ソルバトクロミズム / オプシンシフト / 励起エネルギー移動 |
Research Abstract |
本研究は、光合成・視覚・発光などの光過程において、励起状態における機能発現と分子間相互作用の関わりを、理論的に明らかにするために、分子の励起状態と周辺環境の分子間相互作用理論を高度化することを目的としている。平成23年度においては、昨年度に引き続き、以下の研究を進めた。 (1)ヒト視物質とバクテリオロドプシン(bR)の励起状態における蛋白質の量子的効果:昨年度開発した分子軌道の局在化法を用いて、配置間相互作用計算を行い、励起エネルギー変換の起源を、量子的効果を考慮し、アミノ酸レベルの寄与を解析した。その結果、ヒト視物質における周辺蛋白質の寄与はの各錐体においてほぼ等しく、カラーチューニングへの影響は小さかった。しかし、bRでは隣接するπ性アミノ酸残基がCT相互作用により無視できない寄与をすることが分かった。更には、蛋白質の励起波動関数の構造が明らかになり、今後の理論的モデルの構築に重要な情報を得た。具体的には、色素-残基間のCT、残基におけるエキシトンにほぼ限定されることが分かった。 (2)励起エネルギー移動におけるトンネリング因子の評価と解析:局在化分子軌道を励起エネルギー移動の解析に応用した。種々のドナー(D)-ブリッジ(B)-アクセプター(A)系についてテストした結果、DやAの準位とBの準位が近接すればBを経由する間接的励起移動が起こりうること、多数のステップを経由する励起移動のトンネリング因子の大きさは、D-A間距離に対して指数関数的に減衰すること、長距離では直接移動や1,2個のBを経由する移動経路が主要になることが明らかになった。 (3)光合成色素蛋白質複合体PSII反応中心の励起状態と分子間相互作用:PSIIと紅色細菌の反応中心について励起状態を解析し、光吸収スペクトルを帰属した。また、両者のスペクトルの差異について、色素の空間配置と蛋白質の構造に起源を見出した。
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Research Products
(21 results)