2010 Fiscal Year Annual Research Report
可搬型超高分解能飛行時間型質量分析計を用いた「現場」における分析手法の開発
Project/Area Number |
21685010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
豊田 岐聡 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (80283828)
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Keywords | オンサイト質量分析 / マルチターン飛行時間型質量分析計 / 高分解能 / 大気圧イオン源 / バリア放電イオン化 |
Research Abstract |
可搬型マルチターン飛行時間型質量分析計(MULTUM)に組込む小型イオン源の開発と,MULTUMを屋外に持ち出すための検討を目的とし,本年度は以下の項目について研究・開発を行った. 1.吸引口から雰囲気ガスを吸引し分析する手法の開発 大気中に含まれる揮発性成分の分析において,内径0.1mm以下のキャピラリーを用いてイオン源に試料ガスを直接導入し,イオン化/分析する手法を開発した.イオン化法として,従来の電子イオン化と真空紫外光を用いた光イオン化を試した.電子イオン化ではイオン化時に解離が起こり,混合物の分析は困難であったが,光イオン化では解離がほとんど起こらず,ガソリンのような混合物でも,分析が容易に行なえることを示した.実際に自動車のガソリンタンク内のガソリン揮発成分の分析などを行なった. 2.表面に付着した化学物質を脱離イオン化させる手法の開発 昨年度開発したバリア放電イオン化イオン源の評価と最適化を行なった.試料の加熱を行なえるようにし,薬物や爆発物などのイオン化が効率よく行なえ,高質量分解能での測定が有用であることを確認した.また,MULTUMにバリア放電イオン化イオン源を組込むための小型大気圧イオン源を製作し,評価を行った.小型のスプリットフロータイプのターボ分子ポンプを用いて差動排気部を大幅に小型化し,さらに昨年度開発したリニアイオントラップからの直交排出法を採用した小型の大気圧イオン源である. 3.装置の小型化・低消費電力化 可搬型とするために必要となる電源の小型化と消費電力の低減の検討ならびに二次電池での駆動について検討を行った,電源は2/3程度の大きさまで小型化ができた.次年度引き続き開発を行う.
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