2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21685016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
植村 卓史 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (50346079)
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Keywords | 多孔性金属錯体 / 高分子 / 運動性 / 導電性 / 発光 |
Research Abstract |
ナノサイズの空間に拘束された高分子がどのような物性を示すかということは、高分子ナノ材料の物性解明という観点から非常に重要である。一方で、多孔性金属錯体は、細孔のサイズや表面環境を様々に変化させることができるため、その細孔中に高分子を導入することで、高分子集合体の本数や環境を厳密に制御でき、その物性探索が可能となった。本研究では、細孔中に結晶性のポリエチレングリコール(PEG)を導入し、その相転移挙動を検討した。また、バルクでは相溶しないPEGと直鎖アルカンを同時に細孔中に導入することで、細孔中における相分離挙動についても検討を行った。多孔性金属錯体[Cu_2(L)_2(trietnylenediamine)]。のジカルボキシレート配位子Lを系統的に変化させ、一連の錯体を合成した。加熱により液体状態となったPEG(M_W=600)をそれぞれの錯体の細孔中に拡散させ、導入を行った。DSCにより、細孔サイズが異なる細孔中でのPEGの融点を測定したところ、バルク状態のPEGの融点より低くなり、更に細孔サイズに強く依存して変化することが分かった。一つまり、高分子数本程度の集合体の融点を初めて観測し、更に高分子の本数に依存した融点の変化を明らかにした。また、細孔サイズが同様で配位子Lの置換基の異なる系において、それぞれの錯体の細孔表面とPEGとの相互作用が強いほど、細孔表面に強くトラップされ、融点が上昇することが分かった。一方、PEG(M_W=600)と直鎖アルカンC_<40>H_<82>(重量比1:1)を多孔性錯体の細孔内へと導入したところ、DSCにおいてそれぞれの融点が観測され、片方のゲスト高分子のみを導入した場合よりも融点は低くなり、融解熱は小さくなった。この結果は、細孔中においてPEGとC_<40>H_<82>が、お互いのドメインを分断し合った相分離構造を形成していることを示唆している。導入するPEGとC_<40>H_<82>の重量比を変化させ検討を行うと、比に応じて、それぞれの融点が変化することがわかった。
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Research Products
(1 results)