2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21685025
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
杉本 渉 信州大学, 繊維学部, 准教授 (20313843)
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Keywords | 層状化合物 / 電気化学 / コンデンサー / グラフェン / ナノシート / 電気二重層キャパシタ |
Research Abstract |
電極表面と電解液界面で形成される電気二重層を電荷蓄積に利用する電気二重層キャパシタは,高い出力密度や半永久的な寿命といった特長を有するエネルギー蓄積素子である。大容量化のためには界面の増加(高比表面積化,多孔性制御)が重要である。本研究では新たなナノカーボンとして注目されているグラフェン電極を用いた電気二重層キャパシタの創製を実現するための製造技術を検討する。平成22年度までに,グラフェンのサイズや還元方法と電極特性の関係性を検討し,多孔質構造を制御したグラフェン凝集体を合成し,物質拡散の影響がキャパシタ特性に与える影響を明らかにした。平成23年度は,ポリカチオン/グラフェン交互積層膜の電気化学評価をさらにすすめた。酸性電解液と比較して中性電解液では表面官能基による擬似容量の寄与がなく,純粋な電気二重層容量の概算に適していることがわかった。酸性電解液ではヒドラジンを用いた液相還元よりも,水素ガスによる還元(200℃程度)の方が,高容量が得られるが,中性電解液を用いた場合,両者の差がほとんどなくなる。この差から,ヒドラジンを用いた液相還元では約36%,水素ガスによる還元(200℃程度)は47%が擬似容量であると解釈した。また,照射する超音波の周波数を変化させることでグラフェンのサイズ制御を達成した。平面方向の平均サイズが約900nmの単層はく離酸化グラファイトナノシート(超音波未処理)に逐次的に超音波処理を施すことで約250nmにまで小型できた。これらを還元して得たグラフェンはそれぞれ120F/g及び160F/gとなった。小型化したグラフェンの方がエッジ部分の比率が高いことが容量増加につながったと考えられる。また,酸化グラファイト溶液の液晶状態の解析も行った。静止した状態では規則性をもたないが,コロイドを揺らすだけで液晶相が現れた。
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