2009 Fiscal Year Annual Research Report
高分子溶液における温度勾配を外場とする非平衡系分子物性研究
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21685026
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| Research Institution | Tokai University |
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Principal Investigator |
喜多 理王 Tokai University, 理学部, 准教授 (90322700)
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| Keywords | 高分子溶液 / 非平衡熱力学 / 分子物性 / 温度勾配 / ルードビッヒ・ソレー効果 / ソレー係数 / 熱拡散型強制レイリー散乱法 / レーザー計測 |
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| Research Abstract |
本研究は、熱拡散型強制レイリー散乱法(TDFRS法)を用いて、非平衡状態に特有な高分子の分子拡散や構造形成現象を調べる。TDFRS法は、溶液に安定な温度勾配を形成させることで、外場としての温度勾配により濃度勾配が形成される過程(ルードビッヒ・ソレー効果)を調べることができる。さまざまな高分子溶液のルードビッヒ・ソレー効果を調べることで、非平衡熱力学分野への実験データを提供することおよび高分子物理学の発展に寄与するという目的に加え、系統的な水溶性高分子における研究によって生命活動を担う生体高分子や水分子の構造や機能に新たな知見をもたらすことを目指している。非平衡状態の実験データを解釈するためには、平衡状態における分子特性を詳細に調べておくことが不可欠である。よって、光・X線散乱、誘電分光法、熱分析等のキャラクタリゼーションも並行して実施する。
初年度に得られた成果は以下の通りである。(1)TDFRS法の高精度化とデータ積算時間の短縮は、本研究課題における実験データの質と量を向上させるために不可欠な要素である。そこで、高強度光源と高感度ディテクターを導入し、実験装置の高精度化と測定時間の短縮に取り組んだ。計画通りに装置性能の向上が達成された。(2)サンプルは、合成高分子、多糖類、タンパク質であり、これら高分子の熱平衡状態における分子特性解析を精力的に実施した。(3)上記サンプルを用いてTDFRS法による測定を開始してデータが得られ始めており、計画通りに進行することができた。次年度は、さまざまな条件でのTDFRS測定を継続することで、外場として温度勾配を作用させた際の分子拡散と構造形成現象を分子論的に理解するための研究を継続していく。
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