2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール電荷分布解析を目指したケルビン力顕微鏡の電位像形成機構の定量的解明
Project/Area Number |
21686004
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
笹原 亮 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 助教 (40321905)
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Keywords | ケルビン力顕微鏡 / 非接触型原子間力顕微鏡 / 表面電位 / 仕事関数 / 二酸化チタン / 単分子膜 |
Research Abstract |
本研究は、ケルビン力顕微鏡(KPFM)が表面電位として与える測定量に対して、正当な物理解釈を導き出すことを目的とする。得られる成果は、ナノスケルの局所電位が発現させる、触媒作用、電子放出、摩擦、粘着等の、表面現象の理解とその応用を進展させる。 平成22年度は、ケルビンプローブを用いた二酸化チタン(TiO_2)(110)-(1×1)表面の仕事関数の計測と、周波数変調原子間力顕微鏡(FM-AFM)を用いたTiO_2(110)-(1×1)表面でのナノ力学分析(相互作用力、エネルギー散逸、トンネル電流の、探針-試料間距離に対する応答の解析)に成功した。 本研究では、TiO_2(110)表面に酢酸イオンとトリフルオロ酢酸イオンを吸着させ、表面電位をナノスケールで制御した混合単分子膜を作製する。そのため、吸着酢酸イオンおよびトリフルオロ酢酸イオン1分子が変動させる局所電位を算出する必要がある。酢酸イオンおよびトリフルオロ酢酸イオンは、TiO_2(110)-(1×1)表面に、(2×1)周期で均一の密度で配列した単分子膜を形成する。単分子膜で被覆したTiO_2(110)表面の仕事関数を計測し、TiO_2(110)清浄表面の仕事関数と比較することで、酢酸イオンおよびトリフルオロ酢酸イオン1分子が形成する電気双極子を算出できる。酢酸イオンとトリフルオロ酢酸イオンの混合単分子膜は、分子スケールで局所電位を制御した試料表面となる。この表面でナノ力学分析を混合単分子膜で実施すれば、KPFM電位像のコントラストに与える物理量を特定できる。現在、TiO_2(110)-(1×1)表面に作製した酢酸イオンおよびトリフルオロ酢酸イオン単分子膜の仕事関数を計測し、吸着イオン1分子が変調する表面電位の解析を進めている。
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Research Products
(5 results)