2009 Fiscal Year Annual Research Report
光放射圧による単層カーボンナノチューブのカイラリティ選別法の開発
Project/Area Number |
21686010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
庄司 暁 Osaka University, 工学研究科, 助教 (20437370)
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Keywords | ナノチューブ・フラーレン / 光ピンセット |
Research Abstract |
本研究の目的は、光の放射圧によってカーボンナノチューブのカイラリティ選別する技術を確立することである。レーザー光をナノチューブ溶液に集光入射し、光の勾配力によってナノチューブを光スポット内に捕集する。チューナブルレーザーを光源とし、波長を選択しながらカーボンナノチューブの捕集を行う。van Hobe特異性に起因するカイラリティ依存の誘電率によって光放射圧の強さと向きを選択的に制御することによってカイラリティで厳密に分離する。 今年度は、共焦点レーザー顕微鏡をベースにした高速共鳴ラマン分光検出システムとレーザートラッピングシステムを構築した。共焦点光学系により、3次元的にレーザー光のスポット内からのみのラマン散乱を検出し、スポット内に捕集された単層ナノチューブを検出する。光源にはCWチタンサファイアレーザーを用い、今年度予算で購入したチューナブルノッチフィルターを導入し、波長を連続的に掃引しながら、ラマンに加えてフォトルミネッセンススペクトルも取得することができる。ピエゾステージも新たに導入し、システムの除振と安定性に改良を加えた。光源は700-1000nmの範囲で波長可変であり、半導体性ナノチューブと一部の金属性ナノチューブに対して共鳴な波長を選択することができた。ただし、光源のスペクトルが十分な線幅を得られず、ラマンスペクトルの低波数域に存在するRBMモードの検出が困難である。来年度にチューナブルレーザーラインフィルターの導入が必要であると考えている。基礎研究として、カーボンナノチューブがレーザー光によって破壊される限界の光強度を実験から見積もることができた。その結果、現在想定しているレーザー強度ではナノチューブを破壊(あるいは分解)することはなく、非破壊でナノチューブを光捕捉することができることが確認できた。
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