2010 Fiscal Year Annual Research Report
光放射圧による単層カーボンナノチューブのカイラリティ選別法の開発
Project/Area Number |
21686010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
庄司 暁 大阪大学, 工学研究科, 助教 (20437370)
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Keywords | ナノチューブ・フラーレン / 光ピンセット |
Research Abstract |
本研究の目的は、光の放射圧によってカーボンナノチューブのカイラリティ選別する技術を確立することである。レーザー光をナノチューブ溶液に集光入射し、光の勾配力によってナノチューブを光スポット内に捕集する。チューナブルレーザーを光源とし、波長を選択しながらカーボンナノチューブの捕集を行う。van Hobe特異性に起因するカイラリティ依存の誘電率によって光放射圧の強さと向きを選択的に制御することによってカイラリティで厳密に分離する。 昨年度導入したチューナブルノッチフィルターと、波長可変のCWチタンサファイアレーザーを導入し、チューナブルラマン分光/フォトルミネッセンス分光の光学系を備えた波長可変レーザートラッピングシステムを構築した。カーボンナノチューブのRadial Breathingモードを検出するためには、入射光にもレーザーラインフィルターが必要であることがわかり、今回チューナブルレーザーラインフィルターを導入した。現在、カーボンナノチューブのラマンスペクトルの取得から光学系の調整を行っている。 光の放射圧でナノチューブを捕集するのに加えて、対象でないカイラリティを取り除く手法の検討を行った。これは、昨年度の研究において、レーザー光の強度が強すぎると捕集する前に光分解が生じることが分かったことに基づく。特定の波長で、ある閾値以上の強度で入射すると、その波長に共鳴なカイラリティが選択的に光分解されることが分かった。この光分解は、フェムト秒のパルスレーザーを用いるとより効果的にカイラリティを選択して誘起できることが実験で確認された。CWとフェムト秒パルスとを使い分けながら、捕集と破壊によってより効果的にカイラリティ選別が可能であることが示唆された。
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