2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21686012
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
燈明 泰成 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50374955)
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Keywords | ナノ材料 / ナノコンタクト / ナノ接合 / ナノ切断 / ジュール熱 / 自己完了 / ゼーベック効果 / ナノ熱電デバイス |
Research Abstract |
平成23年度は申請時に計画した研究を遂行し、以下の研究実績を得た。 1. ナノ熱電対プローブの試作とナノ領域温度分布マッピング 中央を電気的に絶縁した電極チップ上でPtマイクロワイヤとWマイクロワイヤとをジュール熱溶接し、世界最小級の自立型熱電対プローブ(先端寸法10μm以下)を実現した。当該熱電対プローブはPt/W異種金属接合部と電極チップとの温度差に起因して生じる電圧(ゼーベック効果)を測定することで、測定対象物の局所的な温度計測を実現する。試作した極微小熱電対プローブを走査機構に取り付け、顕微鏡観察下において通電下にあるAl薄膜配線(厚さ600nm、幅10μm)の長手方向の温度分布を高分解能に計測することに成功した。 2. ナノ熱発電モジュールの実現 異種金属ナノ接合部を多数内包したナノ熱発電モジュールを実現するために、高い熱電能を有するFeナノワイヤを大量生産した。ここでは表面を酸化させたFe平板に曲げ応力を付与し、これを加熱することでFeナノワイヤを大量生産する新しい手法を提案した。また高効率熱発電の鍵が平衡状態における異種金属接合部の両端の温度差にあることに鑑み、発電に適したワイヤ形状の探索を目的として様々なFeワイヤを含む熱電回路の試作と熱発電実験を試みた。これによりアスペクト比が10程度のFeワイヤを用いて温度差発電が可能であるとの知見を得た。以上の成果はナノ熱発電モジュールの基礎を築くものである。 3. ナノ接合の科学基盤の確立 これまでに実施した金属ナノ・マイクロワイヤのジュール熱溶接条件を集約すると共に、これを本研究で提案したナノコンタクト部の溶融現象を支配するパラメータで整理して、高確度にナノ接合を実現するための実施要領を示した。さらに詳細な結晶構造観察より、本ジュール熱溶接により組織的に極めて低損傷な接合が実現できていることを実証し、応用のためのナノ接合の科学基盤を確立した。
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Research Products
(6 results)