2010 Fiscal Year Annual Research Report
金属ナノ構造体の非線形挙動を支配する転位の動的メカニズムの解明
Project/Area Number |
21686013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澄川 貴志 京都大学, 工学研究科, 講師 (80403989)
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Keywords | ナノ / 金属 / 転位 / 変形特性 / メカニズム |
Research Abstract |
次世代電子デバイスに用いられる金属ナノ配線は、周りに異種材料が存在し、強い拘束の下で塑性変形を生じる。塑性変形を支配する転位は、周囲に特有のひずみ場を有することから、拘束の影響を強く受ける。このため、ナノ構造体は、特有の塑性挙動を示すことが予想されている。本研究では、強拘束下にあるナノ寸法の金属構造体を対象とし、透過電子顕微鏡(TEM)内でのその場観察変形試験を実施して、その塑性変形メカニズムを解明することを目的としている。今年度の成果は、以下のように纏めることができる。(1)昨年度作製した超低エネルギーナノ加工装置に対して二軸傾斜ホルダが挿入できるよう改造した。これにより、ナノ試験片に対して多方向からのイオン照射による加工が可能となった。(2)TEMによるその場観察では、電子線を透過させるため、試験片幅方向の薄片化が必要となる。しかし、曲げ変形試験では、圧縮領域で座屈が生じる。このため、試験観察部では引張応力のみが生じる曲げ変形試験片を力学的観点から設計した。(3)厚さ200nmの銅薄膜がシリコンと窒化シリコンで拘束された積層材料を供試材として用い、設計形状に基づいて試験片を作製した。観察対象部である銅部分に対し、TEM観察と電子線回折像解析を行い、その粒界形状と結晶方位を特定した。(4)設計・作製した試験片を用いてTEM内にてその場観察変形試験を実施し、銅薄膜内の塑性変形の様子を動的に直接観察することに成功した。
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