Research Abstract |
電界共役流体(Electro-conjugate fluid,ECF)は,直流高電圧の印加によって活発なジェット流を発生する機能性流体である.しかし,電界共役流体に生じる流動のメカニズムは明らかではなく,理論体系の確立が実用化に向けた最大の課題であった.このため,本研究ではECFが不均一な電界において活発な流動を呈することに着目し,ECFの流動発生メカニズムを明らかにすることを目的とした. 2010年度までにマクスウェル応力の不均一性に基づくECF流動理論を提案した.また,流動のかしか実験などを通して,ECFにおける優勢電荷の存在,および鋭利な電極先端からの電荷注入の可能性が明らかとなった.このため,2011年度は,ECFの流動モデルに優勢電荷および電荷注入の影響を導入し,モデルを拡張した.すなわち,ECF特有の優勢電荷に加えて,鋭利な電極角部から注入された電荷にもクーロン力が働くことによりECFの流動が発生すると仮定し,計算機上に流動モデルを構築した.計算対象は,2010年度の可視化実験の際に活発な衝突噴流を観測した対向棒電極対として数値解析を行った.数値解析により得られた流速分布は,流速の方向やオーダ,衝突噴流の発生の有無などの点において可視化実験により得られた流速分布とよく一致しており,提案した流動モデルの妥当性を確認した. このほか,ECFのマイク腋圧源としての可能性を示すために,直径5mm,高さ5mm程度で約30kPaの最大圧力を発生する電極対を製作した.これを用いて,タンク,ポンプ,アクチュエータが一体化されたマイクロハンドを実現し,ECFの液圧源としての可能性を示した. 以上より,電界の印加によって活発な流動を呈する電界共役流体の流動モデルを確立し,電極設計への応用を可能とした.
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