2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21686020
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小宮 敦樹 東北大学, 流体科学研究所, 講師 (60371142)
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Keywords | 物質拡散 / タンパク質 / 光学計測 / 多成分拡散 / 位相シフト技術 |
Research Abstract |
本研究では,これまでに確立してきた微量試料で物質拡散係数を導出する測定法を用い,ヒト体内環境がタンパク質の物質輸送現象にどのような影響を及ぼすかについて,周囲環境を変えた観察実験を行い,その評価を行う.研究2年目の本年度は,研究フェーズの中間ステップとなる「拡散観察実験」および「モデリング」に重点を据えて研究を遂行した.研究代表者が有する高精度計測装置を最大限に利用し,拡散現象のモデリングに必要な条件下でパラメトリックな観察実験を行ってきた. 「拡散観察実験」では,昨年度に引き続き,移動物質(溶質)が系内に複数存在する多成分系の拡散現象に着目し,無機塩溶質の濃度勾配が存在する条件下でタンパク質移動現象がどのように変化するかについて観察実験を行った.昨年度よりも濃度勾配の範囲を広げ,より生体内環境に近い条件についても実験・検討を行った.また,外力によりタンパク質やアミノ酸輸送現象の能動制御が可能であるかの基礎的実験を行った.具体的には電場を印加した実験を行い拡散現象を評価した.その結果,物質移動現象を能動的に制御するには,強力な外力場の印加が必要となり,生体に適用する場合は副作用的な要素も十分考慮しなければならないことが明らかとなった.今後は,その制御性についてより詳細的に検討していく予定である. 「モデリング」においては,多孔質内の熱物質移動を専門とする海外の連携研究者と議論を行い,自由拡散では表記できない物質移動現象について,多孔質媒体の拡散現象記述を利用することとなった.今後,複雑媒体内での高精度拡散現象観察実験を実施し,モデルに寄る濃度分布の推定と実験結果を比較検討することで,採用モデルの妥当性を評価していくこととなった.これについては次年度集中的に行うこととした.
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Research Products
(4 results)