2010 Fiscal Year Annual Research Report
高出力レーザーを用いた高分子材料表面改質による新規導電性付与技術の開発
Project/Area Number |
21686022
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
齊藤 卓志 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (20302937)
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Keywords | 炭酸ガスレーザー / 耐炎化処理 / 炭化処理 / ポリアクリロニトリル / 電気伝導性 / DSC / TG-DTA |
Research Abstract |
平成22年度は,レーザー照射による直接炭化処理の最適化を図るため,材料の物性変化を熱分析装置により明らかにすると共に,レーザー照射時の材料表面近傍の温度分布に関する数値シミュレーションを行った.また,得られた結果より高分子材料表面に対するレーザー照射条件を定め,導電パターン形成を試みた.供試材料は前年度に引き続きポリアクリロニトリル(PAN)を用い,炭酸ガスレーザーによる導電部形成実験には,粉末状のPANを加熱プレスにより直径30mmのディスクに成形して使用した. 実験では,DSC(示差走査熱量測定)およびTG-DTA(示差熱・熱重量同時測定)を行い,熱処理による材料物性および構造の変化を捉えた.具体的には,DSCにより耐炎化反応における反応ピークと耐炎化時に発生する発熱量に与える加熱速度の影響を検討した.また,TG-DTAにより高温領域で生じる炭化反応の分析を行った.典型的な条件として,260℃の空気雰囲気で90分保ち耐炎化を完了させた後,Arガス雰囲気で1500℃まで加熱速度500℃/minで加熱した.測定された発熱ピークから,供試材料の脱水素反応(590℃)と脱窒素反応(1150℃)の開始温度を決定した.レーザー照射時の材料表面の温度分布シミュレーション結果と,熱分析実験で求められた最適温度を突き合わせ,適正なレーザー照射条件を定めた. 決定されたレーザー照射条件に基づき,自動ステージ上に設置されたPANディスクにレーザー照射を行い,その表面に導電パターンを形成することを試みた.その結果,赤外線加熱炉を用いて予め耐炎化処理を行った試料について7.56S/cmの電気伝導率を有する線状のパターンを形成した。しかし,耐炎化処理をもレーザー照射で行った場合,材料表面のアブレーションを避けることが出来ず,結果として電気伝導性を付与することが出来なかった.
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Research Products
(3 results)