2009 Fiscal Year Annual Research Report
半導体多孔質構造を利用した機能的ナノ界面の高密度形成と高感度化学センシング技術
Project/Area Number |
21686028
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 威友 Hokkaido University, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 准教授 (50343009)
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Keywords | 半導体ナノ構造 / 多孔質構造 / 機能修飾 / 化学センサ / 電気化学 |
Research Abstract |
平成21年度は、InPポーラス構造の光学物性・電気伝導特性を明らかにするとともに、ポーラス構造を検出部に有するFET型化学センサの実現に向けた基礎的検討を行った。主たる成果を以下に示す。 1.p形InP基板にエピタキシャル成長したn形InP層にポーラス構造を形成し、その電気化学的形成条件を最適化した。孔の形状および孔径は、n形層のドーピング濃度と印加陽極電圧に強く依存することを明らかにし、リソグラフィ技術を用いることなく50nm~700nmの任意の孔径をもつポーラス構造の形成に成功した。また、孔の深さは形成時の通過電荷量に比例することを明らかにし、孔の深さをプロセス時間により精密に制御する手法を確立した。 2.pn接合InP基板に作製したポーラス構造の光学的特性・電気伝導特性を、紫外可視分光法・光電流一電圧測定により明らかにした。ポーラス形成初期に形成される表面の不均一層を除去した試料では、極めて低い光反射率と高い光吸収率を示すことを明らかにした。また、ポーラス構造の上面と基板裏面に形成した2電極間の電流-電圧特性は整流性を示し、孔壁において十分な電気伝導度を有するとともに、pn接合の内蔵電位がポーラス形成後も保たれていることを明らかにした。上記1.および2.より、高感度化学センサの基礎構造の1つであるpn接合ポーラス構造が達成され、本研究課題の実現に向けた有望な成果が得た。 3.ポーラスInP基板をグルコースオキシダーゼ(GOD)分子を含む電解液に浸し、陽極電圧を印加することによりGOD分子を固定化することに成功した。光電子分光法による評価から、陽極電圧はInP表面の酸化電位以下に設定することが重要で、その電圧範囲において、GODの固定量は陽極電圧の増加とともに増大することが明らかとなった。また、GOD固定化ポーラス電極を使って溶液中のグルコース濃度を検出することに成功し、バイオセンサの応用に有望な成果を得た。
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Research Products
(12 results)