2011 Fiscal Year Annual Research Report
半導体多孔質構造を利用した機能的ナノ界面の高密度形成と高感度化学センシング技術
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21686028
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 威友 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 准教授 (50343009)
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Keywords | 半導体ナノ構造 / 多孔質構造 / 機能修飾 / 化学センサ / 電気化学 |
Research Abstract |
平成23年度は、InPポーラス型化学センサの作製技術の改善と光学的評価を行った。 1.加工基板を用いることにより、ポーラス構造の孔の位置制御が可能であることを明らかにした。フォトリソグラフィと硫酸系の化学エッチングによりInP基板に凹凸加工パターンを形成し、それを初期基板としてポーラス構造の形成を行うと、加工パターンに沿って孔が配列することがわかった。加工基板の凹部では、電界集中のため基板裏面から供給される陽極電流が流れやすく、エッチングによる孔の形成が優先的に起こることを明らかにした。 2,ポリスチレン微小球の自己組織化配列を利用したInP加工基板の形成に成功した。微小球分散液をInP基板へ滴下し乾燥させて微小球の配列構造を形成した後、それをマスクとして下地のInP基板を加工する。フォトリソグラフィ工程と併用することにより、1.0~3.0um周期に配列した直径200nmの微細孔パターンの形成に成功した。本プロセスは、ポジ型・ネガ型どちらのレジストにも対応し、通常用いられる紫外線波長(340nm程度)より小さな寸法のパターン形成が可能であることを明らかにした。上記1と2の結果は、ポーラス型化学センサの検出部における孔の配列制御に有望で、構造の設計自由度を広げることにつながる成果である。 3.ポーラス構造の光反射特性を評価し、規則的に配列した構造では、低い光反射率が極めて低くなることを明らかにした。ポーラス構造初期には印加する陽極電圧に対し、表面電界の分布が一定に定まらないため、直線性の悪い孔が表面から数100nm~数pmの深さにわたって形成される。この表面乱れ層をエッチングで除去することにより、ポーラス構造の表面光反射率は1%以下の値を示し、孔の内部にまで効果的に光が伝搬することを明らかにした。これは、大きな孔壁表面積を利用した光電気化学反応の検出につながる成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、本研究の目的の1つであるポーラス型化学センサの試作と動作実証を達成しており、関連する特許の出願を1件完了している。また、研究成果の公表として、査読付きの学術誌6編、国内外の学会36件の発表があり、当初の計画とおり順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(平成24年度)は最終年度となるため、素子の性能評価と最適化を進めつつ、本研究の総括を行う。当初の計画とおり順調に進展しており、現段階では研究計画の変更は必要ないと考えている。
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Research Products
(14 results)