2009 Fiscal Year Annual Research Report
フォトニックナノ共振器を有するシリコンLEDの実現とその高効率化
Project/Area Number |
21686031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩本 敏 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (40359667)
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Keywords | ナノ共振器 / 発光ダイオード / フォトニック結晶 / シリコン |
Research Abstract |
今年度はフォトニック結晶構造を有するシリコン発光ダイオード(LED)の作製プロセスを確立し、実際にシリコンフォトニック結晶LEDの作製に成功するとともに、フォトニック結晶を有しないLEDの構造と比較して大きな発光強度が得られることを実証した。素子は、市販のSOI基板に領域選択イオン打ち込み技術を用いて横型p-i-n接合を作製した構造で、発光部分となるi領域に、フォトニック結晶構造を有するものである。電流-電圧特性では明瞭なダイオード特性が得られるとともに、電流の増大に伴ってEL発光強度も次第に上昇した。フォトニック結晶の周期、円孔サイズなどのパラメータを変えたいくつかの素子を作製し、平面型SOI-LEDからの発光強度との比較を行った。10mAの注入電流に対して最大で14倍の発光積分強度の増強が得られた。この増強のメカニズムはフォトニック結晶構造の導入による光取り出し効率の増大の寄与が大きいと考えられる。現在数値計算も併用しつつ、メカニズムの詳細を検討しているところである。また、エアブリッジ型と呼ばれるフォトニック結晶構造を用いると1mAの注入電流にたいして100倍を超える高い発光強度が実現された。これらの成果は、シリコン系発光素子の展開に寄与するものである。今後は、さらに輻射場制御による発光増強効果を利用するため、ナノ共振器構造を有するLEDの作製とその評価を進める予定である。
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