2010 Fiscal Year Annual Research Report
フォトニックナノ共振器を有するシリコンLEDの実現とその高効率化
Project/Area Number |
21686031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩本 敏 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (40359667)
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Keywords | ナノ共振器 / 発光ダイオード / フォトニック結晶 / シリコン / ナノビーム構造 |
Research Abstract |
シリコンフォトニクス技術において、高効率光源の実現は大きな課題であり様々な研究が進められている。しかし最も基本的材料である結晶性シリコンについては、間接遷移という理由からその候補としては深く検討されてこなかった。本研究では、フォトニックナノ共振器を有するシリコン発光ダイオード(シリコンナノ共振器LED)の実現と、輻射場制御を利用した高効率化を目指している。21年度には共振器を含まないフォトニック結晶構造を有するシリコンLEDの作製に初めて成功すると共に、検出発光強度の増大を実現した。本年度は、ナノ共振器構造を有するシリコンLEDを初めて実現した。共振器部分に効率的に電流を注入するために、ナノビーム型一次元フォトニック結晶ナノ共振器構造を採用した。また、放熱特性の観点から、エアブリッジ型ではなくシリコン酸化膜上に形成されたナノ共振器構造を用いた。作製したナノ共振器LEDについて、室温における顕微EL発光測定において、共振器モードに起因する明瞭なピークを観測することに成功するとともに、フォトニック結晶構造を有しないナノビーム型LEDに比べて検出光強度の大幅な増大を実現することができた。また、注入電流の増加に伴って、共振器ピーク波長の短波長シフト、発光強度が飽和する現象が観測された。これは注入された余剰自由キャリアによる効果と考えられる。更に電流値を増大させると、共振器波長は長波長シフトを示した。これは試料の温度上昇に起因すると考えられる。現在は、シリコンナノ共振器LEDの基礎特性・物理を解明するため、時間分解発光測定などの実験を進めている。
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