2010 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性金属の磁化による半導体レーザの発振状態制御と光情報信号処理への応用
Project/Area Number |
21686032
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
清水 大雅 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 特任准教授 (50345170)
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Keywords | 高性能レーザー / 磁性 / 先端機能デバイス / 光物性 / 情報通信工学 |
Research Abstract |
平成22年度は本研究課題「強磁性金属の磁化による半導体レーザの発振状態制御と光情報信号処理への応用」の2年度目である。 平成22年度は平成21年度に確立した半導体リングレーザの作製プロセスに基づき、強磁性金属電極を集積した一方向発振リングレーザの作製に成功した。強磁性金属には電子ビーム蒸着法によって製膜されたFe薄膜を用い、動作波長を1300nm、リングレーザの半径を0.5mmとした。得られた半導体リングレーザは500mAの発振閾値電流と、磁化反転に伴って2.8dBの強度変化を示した。作製された半導体リングレーザでは、光分岐導波路部の分岐比が設計値よりも小さくなった。したがって得られた光出力にはリング共振器からだけではなく、出力直線導波路からの光出力が含まれており、磁化反転時のリングレーザの強度変化を低下させている。平成23年度は光分岐導波路の改善によってより大きな消光比と小さな発振閾値電流の実現を目指す。 また、直線状の非相反ファブリペロー半導体レーザの高出力化に成功した。平成21年度までの半導体光増幅器構造の見直しと、強磁性金属としてFeCo薄膜電極を採用した。モード利得の向上とFeCo薄膜においてFe薄膜より大きな磁気光学効果が得られたことにより、磁化反転に伴う43%のレーザ発振出力変化と発振閾値電流が40mA(素子長0.5mm)の非相反半導体レーザの実現に成功した。平成21年度に作製された非相反半導体レーザと比較して、発振閾値電流の半減に成功し、同等のレーザ発振出力変化が得られた。本研究成果は一方向発振リングレーザの高出力化と消光比の改善にもつながるものと考えている。 以上の研究成果は3件の査読付論文(英文)、3件の国際会議論文、2件の国内会議論文として発表した。
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