2010 Fiscal Year Annual Research Report
高空間分解能テラヘルツ波ケミカル顕微鏡の開発とマイクロ流路イオン輸送評価
Project/Area Number |
21686038
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
紀和 利彦 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (00379710)
|
Keywords | テラヘルツ波 / ケミカルポテンシャル計測 / マイクロTAS |
Research Abstract |
研究の目的 micro-TAS(Micro-Total Analysis Systems)を構成するマイクロ流路内を流れる検査用液の物質濃度分布,イオン分布,反応拡散分布を観測することが可能な高分解能テラヘルツ(THz)波ケミカル顕微鏡(TCM : Terahertz Chemical Microscope)を開発する.さらに,実現したTCMを用いて,マイクロ流路内のイオン輸送を計測・制御する.これにより,micro-TASを用いた高精度検査・検出が可能になる.さらにマイクロ流路内イオン輸送ダイナミクス解明へも寄与する. 研究の成果 本研究では,溶液中のケミカルポテンシャル変化をTHz放射強度変化に変換することができるセンサチップの開発に成功した本研究者が,具体的な応用として,マイクロ流路内部溶液の可視化ツールとして発展させたものである.これにより,マイクロ流路の制度の良い制御が可能となるため,マイクロ流路を用いた分析・合成・抽出反応などの高精度化に寄与することができる. 具体的な成果としては,まず平成21年度は,電磁界シミュレーションを実施するとともに,実際にPDMSで作成したマイクロTASとセンサチップを組み合わせた構造の開発に成功し,流路中の中和反応をTHz波によって観測することに成功した.これを踏まえて平成22年度では,レイノルズ数の比較的小さな角度で2液が衝突するY字型マイクロ流路を作製し。酸性およびアルカリ性溶液が層流となり,界面で徐々に中和しながら流れていく系を形成した.この系に対して,高分解能化を行ったTCMによって観測を行い,マイクロ流路内で起こる層流の観測に成功した.さらに,観測データをフィードバックさせることで,層流幅の制御をおこなうことに成功した. これにより,イオン反応をモニタしながら制御することが可能となり,高分解能TCMがマイクロTASを用いた高精度検査・検出および輸送ダイナミクス制御の有用なツールとなることが示唆された.
|