2011 Fiscal Year Annual Research Report
確率制御の新展開:レヴィ過程の制御と数理ファイナンスへの応用
Project/Area Number |
21686039
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加嶋 健司 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (60401551)
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Keywords | 確率制御 / レヴィ過程 / 数理ファイナンス / システムバイオロジ / 最適化 / 大規模複雑系 |
Research Abstract |
近年、様々な分野において確定的なモデルでは表現できない確率的な挙動に対する解析・制御手法の重要性が増している。一方、物理システムの故障をはじめとして、金融工学における株価モデルなどでは、系の急激な変動の影響が大きな意味をもつが、これを理論的に捉える枠組みは十分とは言えない。本研究では、こうした現象を統一的に扱うことができるレヴィ過程(およびそれに駆動される確率過程)を数学モデルとして採用し、その解析・制御手法を確立する。本年度は昨年度までに提案していたレヴィ過程の弱近似問題に対する手法を補完する手法として、サンプル値制御理論にもとづく重み関数変換法を提案し、その有効性を検証した。 また、昨年度の情報収集の結果、数理ファイナンスと並ぶもう一つの主要応用先と定めているシステムバイオロジにおいては、本研究で焦点をあてている離散的な不確定性の重要性とともに、ミクロなノイズがマクロな挙動に及ぼす影響の理論的考察、大規模動的システムにおける確率的現象の重要性を認識した。これを受け、本年度よりその具体的な理論構築に着手した。ここでは、あるクラスの振動子ネットワークが安定に振る舞うことをスケーラブルに判定する結果を導出し、心臓における拍動伝搬の簡易モデルに適用した。また生体などにおける化学反応の確率的挙動を記述するための標準的な枠組みであるChemical Master Equationを対象として、低次元化手法の提案なども並行しておこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の軸となるレヴィ過程の弱近似理論の構築と数理ファイナンスに関連する応用例による有効性の検討をすでにおこなった。これと並行して、システムバイオロジにおける確率モデルに関する研究にも着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
大規模複雑ネットワーク上の動的システムにおける確率的挙動という観点から、引き続き理論構築を目指す。またシステムバイオロジーにおける確率モデルの効率的なシミュレーション方法の構築などを通して、その実用的な有効性を検討する。またあらたに、前年度までの理論結果を反応拡散系などの時空間システムのパターン制御へ応用する研究に取り組む。
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Research Products
(3 results)