2009 Fiscal Year Annual Research Report
マルチスケール環境モデルによるセメント系材料・構造と自然環境の強連成解析システム
Project/Area Number |
21686040
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石田 哲也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (60312972)
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Keywords | コンクリート / 耐久性 / 飛来塩分 / マルチスケール / 環境作用 |
Research Abstract |
本年度において得られた成果は如何に列挙される 1.風洞装置を用いて飛来塩分の発生・輸送・付着・浸透の一連のプロセスを再現し,モルタル供試体内部に浸透する飛来塩分の浸透機構の解明を試みた.供試体表面に到達する塩分量と内部に浸透する塩分量を比較したところ,断続的に塩水粒子が噴霧される状況において,相対的に多くの塩化物イオンが内部に浸透することが明らかになった.一方で,持続して塩水噴霧の作用を受ける場合や塩水浸せき時には,塩化物イオンが内部に浸透する速度が低下するという結果が得られた.すなわち,表面の乾燥状態が保持されたまま飛来塩分が作用する環境において,内部への浸透が多くなる現象が実験的に示された. 2.塩化物イオンに対して浸透抑制効果があることが知られている高炉スラグ微粉末を用いたコンクリートの物性を高精度に評価するために,水和反応,空隙構造,強度発現に関するモデル化を行うとともに,水和による自己乾燥・自己収縮の程度と強度発現の関連について検討を行った.高炉セメントB種として分類されるセメントを複数取り寄せ実験を行った結果,セメントの種類によって強度発現性状と自己収縮の関連に大きな相違があることが分かった.すなわち初期の強度発現が大きい場合,それに応じて自己収縮量も増大することが明らかとなった。材料設計の観点から,耐久性を損なう初期ひび割れを低減するための考え方を示唆する貴重な実験結果を得た. 3.湿気や雨かかりに代表される自然環境条件と,中性化の進行の相互依存性を明らかにするために,既設構造物の調査を行った.その結果,実環境での中性化深さは,雨水等の影響を顕著に受けることが分かった.
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