2010 Fiscal Year Annual Research Report
マルチスケール環境モデルによるセメント系材料・構造と自然環境の強連成解析システム
Project/Area Number |
21686040
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石田 哲也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (60312972)
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Keywords | コンクリート / 耐久性 / 飛来塩分 / マルチスケール / 環境作用 |
Research Abstract |
本年度において得られた成果は如何に列挙される. 1.高炉スラグ微粉末を使用したコンクリートの物性を高精度に予測するために,材料特性を左右する水和反応や微細構造形成モデルの高度化を行った.X線回折リートベルト法を高炉セメント硬化体に対して適用し,セメントと高炉スラグ微粉末の2成分系での水和反応を定量化したうえで,微細空隙構造の測定を行った.その結果,高炉セメントの生成するC-S-Hのキャラクターがポルトランドセメントの系と大きく相違し,C-S-Hの保持するゲル水の割合が全水和過程を通じて一定ではなく,水和後期において増加することを見出した.その結果に基づき,高炉セメントの空隙構造形成モデルに対して,C-S-Hの保有空隙率をスラグの水和の進行とともに増加させる新たなパラメーターを導入し,高炉セメントの空隙構造の微細化や長期強度の増進に関する現象を,定量的に再現することに成功した. 2.飛来塩分の発生と輸送,および構造物への付着と内部浸透を,一気通貫で取り扱うマルチスケール環境モデルの検証に資するために,新潟県大川橋りょうを対象として,現地観測を実施した.およそ2時間の短期計測を月ごとに行った結果,小窪らの既往研究による飛来量予測モデルを用いて,現地の観測値を概ね再現できることを明らかにした.同時に,風向や風速ならびに波浪条件によって,構造物近傍への飛来塩分到達量は部位によって大きく異なる傾向を示すことが明らかとなった.またモルタル片と綿を同一環境に置いた1ヶ月間の暴露試験を実施した結果,雨雪による洗い流し効果が無い場合には,到達量と浸透量がほぼ等しくなることが分かった.
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Research Products
(4 results)