2011 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオーム解析と原子間力測定に基づいたMBRにおける膜ファウリングの制御
Project/Area Number |
21686050
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 克輝 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (10292054)
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Keywords | MBR / 膜ファウリング / タンパク質 / 2D-PAGE |
Research Abstract |
膜の閉塞(膜ファウリング)は膜分離活性汚泥法(MBR)における最大の問題であり、膜ファウリングの原因物質(膜ファウリング物質)の特性を含めた膜ファウリング発生機構の解明が待望されている。タンパク質はMBRにおける主要な膜ファウリング物質であるため、膜ファウリングを引き起こしているタンパク質の性質や機能を明らかにすることができれば膜ファウリング発生機構に対する理解を大幅に深めることが可能となる。本年度は、実都市下水を処理するパイロットスケールMBRにおける膜ファウリング物質に対し、2D-PAGEとN末端アミノ酸配列解析から構成されるメタプロテオーム解析を適用し、MBRにおいて膜ファウリングを引き起こしているタンパク質の性質/機能解析を行うことを試みた。 本年度行った検討では、運転条件の異なる2系列のMBRから、合計32種類のタンパク質を分析したが、そのうち3種類のタンパク質を同定することに成功した。タンパク質の分離に2D-PAGEを適用したことによって、タンパク質の分離能が飛躍的に向上し、より多くのタンパク質についてN末端アミノ酸配列解析が実施できるようになった。膜ファウリングを引き起こすタンパク質の構造決定を行ったのは、おそらく本研究が世界で初めての例である。今回同定に成功したタンパク質は、OprFとOprDであった。いずれもPseudomonas属の外膜タンパク質であり、非常に分解されにくいことが知られている。これらのタンパク質はMBR汚泥懸濁液中に分解を受けないままに比較的サイズの大きい粒子として残存し、膜細孔の閉塞を引き起こしていたと考えられる。
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