2010 Fiscal Year Annual Research Report
制振ダンパーの取り付け部とその周辺部材に要求される性能の分析・設計方法の構築
Project/Area Number |
21686051
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉敷 祥一 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教 (00447525)
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Keywords | パッシブ制振構造 / 制振ダンパー / 制振壁 / ダンパー取り付け部 / 弾性剛性 / 降伏耐力 / 塑性変形能力 |
Research Abstract |
昨年度に行った制振壁の取付架台およびその周辺部材の力学挙動に着目した柱梁部分架構の繰り返し載荷実験の結果を詳細に分析し、実験結果に基づいて線材要素による簡便な数値解析モデルを構築した。取付架台を有する梁部分では端部から取付架台の有効高さが拡がり、台形状の有効領域を有することが分かった。これを台形の重心位置を通る矩形断面に取付架台を置き換え、取付架台を有する梁部分の端部でH形梁断面と取付架台断面を剛体拘束することで取付架台の存在による梁の断面増加を考慮する。また、制振壁の復元力の伝達は、取付架台を有する梁部分の端部と実験における加力点位置を剛名トラス部材で接続することにより再現する。この数値解析モデルを用いることによって、局所挙動であるH形梁断面の負担曲げモーメントを含め、解析結果は実験結果と良い対応を示した。 次に構築した数値解析モデルを用いて制振壁の取付架台を有する部分骨組を対象とした弾塑性解析を行った。この検討の結果、制振壁の減衰力や取付架台の存在が及ぼす影響に比べて、スカラップによる断面欠損を含めたウェブ継手効率の低下は梁端部における損傷集中に及ぼす影響が大きいことが分かった。また、梁端部においてウェブ継手効率の低下が小さい場合には、制振壁の設置に伴う取付架台の影響によって梁の塑性化領域の拡大が阻害され、柱梁部分架構の塑性変形能力が低下する可能性を示した。制振壁の幅がスパンの約1/2であり、スパンの片側に偏在している場合、中央に偏在している場合は20%程度のひずみ増大であるが、上下層で制振壁を逆方向に偏在させた場合や制振壁の壁が大きい場合、特に取付架台のない梁断面の長さが梁せいの半分以下であると40%程度のひずみ増大が生じる。
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