2011 Fiscal Year Annual Research Report
制振ダンパーの取り付け部とその周辺部材に要求される性能の分析・設計方法の構築
Project/Area Number |
21686051
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉敷 祥一 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教 (00447525)
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Keywords | パッシブ制振構造 / 制振ダンパー / ダンパー取り付け部 / ガセットプレート / 弾性剛性 / 降伏耐力 / 塑性変形能力 |
Research Abstract |
昨年度までに(1)筋違型ダンパーの取り付け部であるガセットプレートとその周辺部材の力学挙動、(2)制振壁の取付架台とその周辺部材の力学挙動を載荷実験により把握し、数値解析に反映できる力学モデルを構築した。研究の最終年度にあたる本年度では、主としてこれらの力学モデルを用い、取付部周辺部材の力学挙動を考慮したパッシブ制振構造の耐震性能を検討した。具体的には筋違型ダンパーを用いた構造形式を対象とし、8階建ての実建物を想定した骨組モデルの地震応答解析を行った。ガセットプレートの存在を考慮した場合と考慮しない場合について比較した結果、建物全体ではさほど性能は変化せず、各層の降伏耐力においても3~4%の上昇が見られる程度であった。また、複数の地震動記録に対する解析結果では、各層の最大変形角やエネルギー吸収量にほとんど影響は見られないが、ガセットプレートの存在によって梁の可撓長さが短くなるため、梁の塑性率および累積塑性変形倍率はガセットプレートの存在を考慮しない場合に比べて最大で約1.5倍大きくなる(損傷しやすくなる)結果が得られた。 これらの数値解析と並行して筋違型ダンパーである座屈拘束筋違を対象とした実大動的破壊実験を実施し、従来の載荷実験で得られている変形性能に関する知見を検証するととともに、動的に変形した際の力学挙動を把握した。座屈拘束筋違は鋼材のもつ動的特性に加え、心材と補剛コンクリートを絶縁するために介在させる材がもつ粘弾性効果によって耐力が上昇するが、繰り返し載荷に対する変形性能は静的実験時とほぼ同等であることが確認できた。
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