2010 Fiscal Year Annual Research Report
施設の住居化と住宅の施設化による高齢者介護の場の良質な居住環境確保に関する研究
Project/Area Number |
21686058
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
石井 敏 東北工業大学, 工学部, 教授 (90337197)
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Keywords | 暮らし / 施設の住居化 / ユニット型介護施設 / 行動観察調査 / 特別養護老人ホーム / 施設環境 |
Research Abstract |
高齢者居住施設において重視される「暮らし」だが、施設における高齢者の「暮らし」とは何かとなると、非常に抽象的で、わかりにくいものでもある。本年度の研究では、介護施設に居住する高齢者一人ひとりの「暮らし」を、1年目で明らかにした空間的な状況を踏まえて捉えることで、施設の住居化を考える基礎的な資料を得ることを目的として調査を行った。人の「暮らし」をかたちづくり、また規定する要素としては、その人にかかわる「人」や「もの」、また施設の「空間」やその人自身の身体的な状況、施設の種別など、さまざまな要素が関係している。それらの要素とその人の「暮らし」との関係を明らかにしながら、暮らしを支える環境のあり方を探り、住居化のための知見を得た。調査は、それぞれ空間や施設運営の様態が異なる要介護高齢者が暮らす4施設、計18名の入居者について午前7時~午後7時まで行動観察調査を行った。調査対象となった18人の暮らしのかたちとその特徴から、その暮らしを構成する要素を抽出することを試み、「人」「もの」「空間」「認知症」「生活歴」「身体様態」を軸に分析した。個々の暮らしと施設のあり方、その環境のあり方とが、直接・間接的に関わりあっていることが18人の事例調査を通して明らかになり、施設の住居化に向けての重要な視点が抽出された。また、1年目に集計した全ユニット型介護施設の居住環境の実態のデータベース化の試行版作成を行い、実用化のための準備作業を行った。公開の方法等についてはさらに関係機関と協議の必要があるため課題を次年度に持ち越した。また計画では「住宅の施設化」についての研究を進めるために、先進的取り組みを行なっている北欧を対象に現地調査を行う予定だったが、当初予定していた時期での受け入れ側の都合があわなかったため、現地調査は次年度に延期することとした。
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