2010 Fiscal Year Annual Research Report
走査型プローブ顕微鏡によるセラミックスのき裂進展素過程のその場観察
Project/Area Number |
21686062
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
多々見 純一 横浜国立大学, 環境情報研究院, 准教授 (30303085)
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Keywords | セラミックス / 破壊 / 窒化ケイ素 / 走査型プローブ顕微鏡 / その場観察 |
Research Abstract |
近年、優れた機能を有するセラミックスを実用化するために、その長寿命化と高信頼性化が求められている。このような機械的特性を改善する上で、破壊挙動、すなわち、き裂進展挙動に関する知見は重要である。そこで本研究では、ナノスケールでの破壊挙動の新規評価方法として、走査型プローブ顕微鏡によるセラミックスのき裂進展素過程のその場観察技術の確立を目的とした。本年度は、主に構造材料として多く用いられているSi_3N_4セラミックスを対象として実験を行った。まず、原料であるSi_3N_4粉末に焼結助剤を添加した混合粉末を用いて、一軸及びCIP成形により成形体を得た。これを,1800℃、2時間、0.9MPaN_2雰囲気で焼成した後、20×4×15mmに加工した。さらに、試験片の片面を鏡面研磨すると共に、片側シェブロンノッチを導入した。このノッチ入り試験片を小型試験装置で負荷することにより、き裂を安定的に進展させ、走査型プローブ顕微鏡を用いて観察した。Si_3N_4セラミックスが安定破壊し、き裂が徐々に進展していく様子が確認された。またSi_3N_4セラミックスは、1つのき裂が連続的に進展するのではなく、先端あるいはき裂近傍にマイクロクラックを生成しながら、それらが連結して不連続に進展していくことが観察された。鏡面研磨面に対して、わずかにプラズマエッチングを施して、粒界相を数nm突出させた試験片に対しても、同様にき裂進展のその場観察を行った。その結果、焼結助剤としてY_2O_3とAl_2O_3を用いたSi_3N_4セラミックスでは、き裂は粒界相中ではなく、Si_3N_4粒子と粒界相の界面を進展することも明らかになった。また、予備的検討として、次年度で行う予定の電子セラミックスの破面観察を走査型プローブ顕微鏡を用いて行った。
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Research Products
(5 results)