2011 Fiscal Year Annual Research Report
希土類系高温超伝導線材の強磁場マグネット応用のための材料力学的研究
Project/Area Number |
21686064
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
西島 元 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導線材ユニット, 主任研究員 (30333884)
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Keywords | 高温超伝導線材 / 希土類系 / 強磁場 / 臨界電流 / 歪依存性 / 温度依存性 |
Research Abstract |
一般に超伝導性は磁場・温度・電流の3パラメータによる臨界面で記述される。しかし,実用超伝導線材は歪による特性変化が顕著なため,応用の観点からは4つめのパラメータとしての歪が大変重要となる。特に強磁場マグネット応用の場合は,電磁力に起因する応力が印加されるため,歪の影響を無視することはできない。そこで,本研究では希土類系高温超伝導線材の強磁場マグネット応用における基礎データベース構築を目的とし,希土類系高温超伝導線材の臨界電流の一軸歪依存性を温度可変・磁場可変で測定可能な装置を設計・製作し,市販の希土類系高温超伝導線材について特性を評価した。 試料として用いたのは市販のGdBa2Cu30x線材である。テープ線材であり,ハステロイC276基板(100μm厚)上にPLD法により1.5μm厚の超伝導層が製膜され,表面には安定化材として100μm厚Cu泊がハンダ付けされている。 本研究では,まず本線材の臨界電流における温度・磁場依存性を測定した。磁場印加方向はテープ面に垂直(超伝導層結晶軸c軸に平行)および平行(c軸に垂直)の2方向とした。臨界電流およびn値の温度・磁場依存性を解析した結果,GdBa2Cu30x線材においてはランダムピンが支配的であることを見出した。 次に,この線材をCuBe製ビーム(5mm厚)にハンダ付けし,ビームに曲げ歪を与えることで線材に一軸引張り/圧縮歪を印加した。装置を温度可変クライオスタットに組み込み,ヘリウムガスフローによって温度調節を行いながら,4Tまでの磁場中で-0.4%~0.4%までの歪範囲で臨界電流を測定した。77Kおよび83Kにおける臨界電流の歪依存性は,4Tまでの磁場において単調減少するが,その傾き(歪感受性)は磁場変化に対して増→減→増と振る舞うことが示された。 本研究で開発した装置は10T無冷媒超伝導マグネットと組み合わせているため,より強磁場での測定も可能であることを追記しておく。
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Research Products
(8 results)