2011 Fiscal Year Annual Research Report
刺激応答性液滴吸着界面をもつ超撥水表面の創成と微小液滴操作への展開
Project/Area Number |
21686065
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 大佑 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (60435625)
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Keywords | 表面・界面物性 / 複合材料・物性 / 自己組織化 / 超撥水 / 液滴操作 / ハニカムフィルム / 刺激応答 / 有機無機ハイブリッド |
Research Abstract |
本申請課題は、バイオセンシング・微小反応場・マイクロフルイディクスで必要とされる『マイクロリットル以下の微小液滴の自在な操作』を実現するための、液滴吸着性の外場制御可能な超撥水表面の開発を目的としている。最終年度は、前年度までに実証した撥水性と液滴吸着性とを併せもつピラー-ドームマイクロ構造化表面での特徴的な微小液滴操作を発展させ、液滴吸着性を温度により変化させることを試み、微小液滴の外場応答による自在な液滴操作への展開を図った。吸着性の刺激応答には、ポリアリルアミン(PAA)とグリシジルイソプロピルエーテル(GIE)の化合物を用いた。また、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDE)を用い、GIE修飾PAAを架橋することで耐水性を付与した。架橋反応をFT-IRで追跡した結果、架橋反応前のPAAのアミン由来のピークは消失し、反応後に形成される水酸基由来のピークが出現した。また、使用した水溶液はELS測定から35~36℃付近に親水性と疎水性が転位する下限臨界共溶温度をもっていた。前年度までに構築した手法を利用して作製した刺激応答性ドームと超撥水性ピラーの複合表面のハニカム孔数に対する刺激応答性ドーム数の割合(ドーム密度)は、作製時の溶液温度制御により調節できた。ドーム密度約1%と約2%の接触角と転落角の温度依存性を測定した結果、表面温度が24℃以上では両基板とも超撥水性を示していたのに対し、転落角は、1%の表面では30℃で、2%の表面では34℃まで、表面を90°傾けても水滴は吸着されていたのに対し、それ以上では水滴は約20°で転落した。以上の結果から、刺激応答性高分子ドームと疎水性高分子ピラーの複合表面を作製することで、超撥水性を維持しながら水滴の吸着力を表面温度制御できることが示された。
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