2009 Fiscal Year Annual Research Report
全固体リチウム二次電池の界面微細構造とイオン伝導特性
Project/Area Number |
21686066
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岸田 恭輔 Kyoto University, 工学研究科, 准教授 (20354178)
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Keywords | 格子欠陥 / 電子顕微鏡 / 界面物性 / 全固体電池 / 固体イオニクス |
Research Abstract |
全固体リチウム二次電池におけるサイクル特性や内部抵抗などの電池特性は,全固体電池特有の固体電解質/固体電極界面の構造と物性により大きく左右される.本研究ではLLT固体電解質とLiCoO_2正極からなるモデル系を用いて,結晶性固体電解質/正極界面の微細構造と電気化学特性の相関を解明することで,高い構造安定性とすぐれたイオン伝導特性を兼ね備えた固体/固体ヘテロ界面構造の制御法を確立することを目指している.本年度は,界面の構造安定性やイオン伝導特性に影響を及ぼすことが予想される因子のうち,LLT固体電解質とLiCoO_2正極との配向関係および界面微細構造と電気化学特性の相関についての研究を行い,以下のような結果を得た.(1)様々な表面方位をもつLLT単結晶にLiCoO_2を蒸着したセルを用いて,LiCoO_2正極の優先配向方位ならびに微細構造に及ぼすLLT表面方位の影響について調べた.LLT表面方位が(110)である場合,LiCoO_2内には微細なドメイン構造が形成されるが,ほぼすべてのドメイン内のLi層が界面に対して垂直に配向し,そのような微細構造上の特徴を反映して,非常に良好な界面イオン伝導特性が得られることを明らかにした.(2)多結晶LLTについて,Arイオン照射およびショットピーニングによる表面処理を行い,いずれの場合も表面にアモルファス層が形成することに成功した.またこれらの導入により,界面イオン伝導特性,界面の構造安定性が向上することを確認した.(3)LLT相の結晶構造は,組成に依存して変化するが,これまで統一的見解は得られていなかった.そこで透過電子顕微鏡内での精密な電子回折実験による空間群の評価を行い,Li-rich組成では正方晶系P4/nbmが,またLi-poor組成では斜方晶系Amm2が空間群として妥当であることを初めて明らかにした.
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