2010 Fiscal Year Annual Research Report
全固体リチウム二次電池の界面微細構造とイオン伝導特性
Project/Area Number |
21686066
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岸田 恭輔 京都大学, 工学研究科, 准教授 (20354178)
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Keywords | 格子欠陥 / 電子顕微鏡 / 界面物性 / 全固体電池 / 固体イオニクス |
Research Abstract |
全固体リチウム二次電池の電池特性は,全固体電池特有の固体電解質/固体電極界面の構造と物性により大きく左右される.本研究ではLLT固体電解質とLiCoO_2正極からなるモデル系を用いて,結晶性固体電解質/正極界面の微細構造と電気化学特性の相関を解明することで,高い構造安定性と優れたイオン伝導特性を兼ね備えた固体/固体ヘテロ界面構造の制御指針を得ること目的とした.本年度は前年度に引き続き,界面の構造安定性やイオン伝導特性に影響を及ぼすことが予想される様々な構造的因子と電気化学特性の相関についての研究を行うとともにLi_4Ti_5O_<12>を負極とした全固体セルの作製を試み,以下のような結果を得た.全固体電池の電気化学特性はリチウムイオンが界面を横切る際の界面抵抗だけでなく,見かけ上の正極材料のイオン伝導特性に大きく左右される.電極/電解質界面への数ナノメートル程度の厚さを持つアモルファスLLTが存在する場合,界面抵抗が大幅に低減される.またLiCoO_2正極膜中においてLi層が界面に対して垂直となるように結晶粒を優先配向させた場合,見かけ上の正極膜のイオン伝導特性が最大となり,より高速な充放電が可能となる.以上の知見から,電解質として結晶性材料を用いる場合は,単結晶を用いた配向制御あるいは多結晶材料のへき開特性を利用した配向制御と,電解質表面へのイオン照射といった表面処理を併用することが,電気化学特性および構造安定性の向上のために有効であることが明らかとなった.またLLT電解質表面へのショットピーニング処理によりLLT表面に導入されたアモルファス層の解析から,イオン伝導特性および構造安定性に優れた新規非晶質系電解質材料の候補を見出した.
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